第37話 おへそが見えるチアガールさんは好きですか?
チアガール回です。
迷宮での暗い通路を移動中にお伝えいたします。
あなたのレベルが『2』に上がりました。おめでとうございます。
「えっ、戦闘じゃなくても、レベルって上がるの?」
そうです、上がります。
経験値が一定量貯まることによって、レベルアップします。先ほどパスちゃんを抱いた時にも経験値が少し入り、レベルが上がったようですね。
「抱いて経験値って、ちょっと嫌だなぁ……」
あなたはレベル2になり、体力が2、防御力が2、素早さが3になりました。こちらの三項目のパラメーターがあなたの適性なのでしょう。攻撃力は1のままです。
「全能力が上がるんじゃないんだ」
はい。ただ、異世界ステータスは様々な要素が複雑に絡んだ平均的基準ですので、ご参考程度に留めるぐらいでお願いします。
「分かりやすそうで分かりづらいなー」
レベルよりも、これからあなたに申し上げることのほうが重要です。
「え、何?」
しっかりとお聞き下さい。
勇者様は、攻略した迷宮をご自身の支配下に置けます。
迷宮を出ましたら、あなたにはまず、出入り口のところでステータス画面を開いて頂きます。そして、こちらの迷宮を支配下に置いた後に、『関係者以外立ち入り禁止』とすることを推奨します。
そうすれば、迷宮の外側全体に結界が張られて、出入り可能になるのはあなたとその関係者、つまりはパスちゃんとその配下さん達だけになるのです。
「それは便利だね、出たらさっそくやろう」
承りました。
ということで、出入り口が見えるところまで進んで来ました。
パスちゃんはお近くにいらっしゃった影の魔物さんへと、旅立つことを告げます。影の魔物さんはご理解したように頷いて頭を下げ、パスちゃんも頭を下げ返しました。
あなた達は出入り口をくぐり、迷宮のお外に出ます。パスちゃんの光が消えました。
まだ、お空は暗くなっていないようです。
これより、少々お時間を頂きますが、迷宮をあなたの支配下に置くためのお手続きを開始しましょう。
「その支配下に置くって表現、勇者じゃなくて魔王寄りじゃないかなー」
パスちゃんには、少し離れた場所でお待ち頂きましょうか。
「うん。……じゃあ、パスちゃんは、ちょっと離れたところで待っててね」
「はい、お待ちしているのです、上様」
パスちゃんは大理石の出入り口から離れ、森のお近くの木の横まで行きます。こちらを向いて、おなかの前でお手を重ねて背筋を伸ばし、そのお姿のまま止まりました。
あなたは迷宮出入り口のほうを向いて、ステータス画面を開いて下さい。
「ステータス画面だね」
あなたは親指と人差し指を動かします。
あなたが開いたステータス画面内では、チアガール姿の少女の立ち絵が表示されます。
「えっ、立ち上げた時にこんなイラスト出たっけ?」
ステータス画面をカスタマイズしましたので、ご案内キャラクターが出現したのですよ。
「いつの間に……」
茶髪をポニーテールにしたチアガールさんは、両手にライトブルーのポンポンを持っています。
「見た目は美少女だ」
チアガール衣装は白と青の袖なしとミニスカートで、上下に分かれているため、おへそが見えています。
「分かれていても見えないのもあるよね」
胸部には、『I Love My Lord』と黒文字で書かれていました。ロードはご主人様を意味します。ちなみにパスちゃんのロードオクトパスのロードは、道路の意味です。
「道路なんだ……」
チアガールさんの立ち絵は、コンピュータグラフィックス処理がなされています。そのお陰で、イラストは止め絵ではなく、なめらかにぬるぬると動いていました。笑顔にしたりすることも可能です。
「ムダに凝ってるなー」
アヘ顔!
「そーいうアヘっとした表情やめて!」
なお、画面の背景には森と青空が描かれていますが、フリー素材の写真の流用です。
「キャラのモデリングで力尽きた感がすごい」
『それでは、こちらの迷宮の安全化をおこないましょう、ご主人様!』
チアガールさんの声の担当もバス子です。
「やっぱり」
ですが、胸部はバス子と違ってそれなりにあります。
「まあ、別人だしね」
『せーの! ブイはバルブレスエンジンのブイですっ!』
「意味が分からない!」
チアガールさんは両手をV字型に見立てて上げ、ポンポンを小刻みに振ります。
『えー、知らないのですかぁ~? 無弁のエンジンのことですよぉ~!』
「ごめん全然分からない……」
『チアガールも分かってないのですけれどー! ブイ!』
「知ったかぶりしてるだけだった!」
チアガールさんは両手を下げて、ポンポンを地面へと落としました。飛躍してから両足を大きく開き、空いた両手で青いミニスカートをガバッとたくし上げ、白い清潔なアンダースコートを晒します。
『こちらを押して下さいね!』
「変態案件来た!」
あなたはステータス画面内のアンスコを押さなければなりません。押したら、迷宮とチアガール娘はあなたのものです。
「私……いけないことは、しようとしてないよ? 押すからね?」
お顔を赤くして、あなたは、極めて敏感な部分を押しました。
『いやぁーん!』
「だから押したくなかった!」
チアガールさんはミニスカートをきつく押さえ、こちらを異常なぐらいに意識する高度な表情を向けます。
「その高度な技術力のせいで私の罪悪感が急上昇だよ」
『ありがとうございました……。完了まで、しばらくお待ち下さい、ご主人様……』
お声も恥ずかしそうです。
「……これってさ、変なとこを押さなくても、このチアガールの子が自分で出来たんじゃないの?」
あなたはご不満がおありのようでした。
「うん。ステータス画面で何かあるたびに、ヤバいところを押さないといけない仕様なのは困るよ」
あなたが嫌とおっしゃるのでしたら、変更しましょう。
需要があると思って、チアガールさんを出しました。
今回もお読み頂き、ありがとうございます。




