第33話 幼くてかわいい女の子になぜか慕われています
うらやましいと思われるようなサブタイトルになりました。
あなたにご報告があります。
「何かな? バス子さん」
先ほどのロードオクトパスさんが地面に潜ったまま、こちらを尾行しているようです。
「えっ、マジなの? やばくない?」
それと、このままバス子バスとしてオフロード走行を続けるのは魔力の消費量が大きいので、バス姿を解除してもよろしいでしょうか?
「うん、いいよ。むしろ、歩いてるぐらいしか速度が出てないし、思ってた以上にガタガタ揺れるから、私も降りたいと思ってた」
あなたは大変ご不満だったようです。すみませんでした。
「ううん、気にしないで」
では、停車します。運転席からお降り下さい。バス子バスのまたのご利用をお待ちしています。
「次があるとしたら、舗装道路がいいな……」
そうですね。草原を走るのには無理がありました。
「バス、子、だからって言ってた時点で、すでにムリがあったと思う」
はい、ご同意いたします。
あなたが下車した後に、バス子バスの姿は完全に消えます。
その直後、巨大な魔物のタコさんが、草原から浮き上がるように出現しました。
襲われると思ってあなたは身構えましたが、巨大ダコさんは、止まっているだけで動かずに、あなたを青い瞳で見つめてくるのです。
「……私に何か用ですか?」
恐る恐るあなたが尋ねると、タコさんは頷くようなしぐさをしました。すると、タコさんの巨体は黒い霧に包まれ、小柄な幼女へと姿を変えました。先ほどと同じく、裸です!
緊急事態のため、真っ白な細長いステータス画面を幼女の前に二つ発生させて、上半身と下半身の危ないところを隠します! 危なかったです! ステータス画面が初めてお役立ちしました!
「バス子さん、ステータス画面に恨みでもあるの?」
ありません。ちなみに細長いステータス画面にはあなたのステータスが書かれていますが、白地で白文字のため、個人情報は全く読めませんのでご安心下さい。
「安心出来ないステータス画面の使い道だよね、これ」
「妾は、上様が戻って来られるのを、ずっと待っていたのです」
かわいらしい声の幼女さんですが、見た目よりも大人びた印象がありますね。両手は下半身のステータス画面よりも上で重ね合わせています。
「ステータス画面で隠れているのが逆にやらしいかも……」
幼女さんはあなたに近寄り、絡みつくように抱きついて来ました。裸で!
「上様って私のこと?」
「はい。上様は、上様です」
密着する幼女さんはあなたを見上げています。
「うん、分かったから! とりあえずちょっと離れてっ」
「分かったのです」
裸の幼女さんは聞き分け良く、すぐにちょっと離れました。
幼女さんは長い黒髪で、頭部の左右に耳のようなひれがついているのがかわいいです。見た目は、小学校中学年ぐらいでしょうか。両手両足は華奢で、ステータス画面で隠れている胸部も貧相です。
あなたは裸の女の子に対して恥ずかしく思うのか、彼女を直視出来ません。
「――あっ、そうだ」
あなたはお尻の下に手を回し、収納魔法を使ってブレザーを取り出します。
「とりあえずこれを着てくれる?」
「はい」
幼女さんはあなたのサイズが大きいブレザーを羽織り、あなたはボタンを留めてあげました。これでひとまずは安心ですね。ステータス画面は消します。
なお、バス子は深緑色のブルマを出せますが、あなたのサイズしかなく、そちらの小さなお子さんには穿かせられないでしょうから、出しません。
「えっと……あなたのお名前は、なんて言うの?」
「妾は、ロードオクトパスなのです」
「ロードオクトパス……。じゃあ、パスちゃんでいい?」
「はい」
「私、パスちゃんと会うのは初めてだけど、なんで上様?」
「妾のお慕いするのは上様で、上様からは、上様と同じ匂いがします。ですので、二代目上様なのです」
あなたの呼び名は上様で確定のようです。
「上様。妾をぐちゃぐちゃにして下さい。上様のためなら、妾はお菓子にもなれるのです」
再びあなたへと、パスちゃんは絡むのでした。
「バス子さんがパスちゃん呼びしてる!」
「上様……。あまり嬉しそうではないので、妾はいったん身を引くのです」
パスちゃんはすっと下がって、おとなしく待ちます。背の高いあなたを見上げて、大きな青い瞳で注ぎ続けるのです。しかし、あなたは彼女のご期待にお応えはしないのです。
「……おかしいのです。上様なら、裸の女の子に対して、馬乗りにしてやりますと叫んで妾を襲うはずなのです」
「その人と私は違うよ! 絶対人違いだって!」
「妾はどうやら、長い間、眠りに就いていたようなのです。そのため、上様は今の二代目上様に引き継がれはしたものの、大好きなものが変化したのかもしれません。……二代目上様に、お見せしたいものがあるのです。どうかついて来てほしいのです」
一礼をした後、パスちゃんは行ってしまいましたのです。後を追いますです?
「うん」
ストーカーなのです。
「違うよ!」
つきまとうという意味では正しいのです。
パスちゃんはあなたに危害を加えるようなご様子ではありませんので、ついて行って下さいなのです。
「さっきからなんでパスちゃんの声真似を?」
バス子も、あなたに『バス子ちゃん』と呼んでほしいからなのです。
「えー、バス子さんは声が割と落ち着いてるから、ちゃんって感じじゃないんだけど。……バス子ちゃん?」
はい! 今後もそれでお願いします!
「じゃあ、これからはバス子ちゃんね」
嬉しいです、あなた。
「バス子ちゃんのあなた呼び連呼もさー、ちょっと変じゃない? まあ、男みたいな本名で呼ばれるのよりずっとマシだけど」
あなたとお呼びするのは仕様のため、変更不可能です。
それよりも、あなたはお急ぎ下さい。パスちゃんが向こうでお待ちになっています。
「あっ、ごめんね、パスちゃん!」
あなたがパスちゃんに追いつくと、パスちゃんが軽くお辞儀をして、再び歩き始めました。
細長いステータス画面が大活躍でした。
今回も最後までお読み下さり、ありがとうございます。




