表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/72

第31話 リバース、それはあなたの恐るべき力!

ようやく……、本当にようやくですね。リバーのリバース能力が、発動します。

 ようやく完了しましたよ、あなた!


「え……、あれっ?」


 あなたの視界はおかしくなっていました。

 正確には、あなたの視界が全く別のもの……そう、魔物の青い瞳を通して見えるようになっていたのです。


 あなたの正面には、全裸の女の子がいます。その近くには倒れたスターリングさんと、急に消えたロードオクトパスの足から解放されたミリーナさんがいます。


「お、重いのです……」

 そうつぶやいた裸体の女の子は、あなたが持っていた大剣を抱えていました。


「どうしようバス子さん、裸の女の子だよ! 誰なのあの子ッ?」


 あちらの黒髪の幼女さんは、ロードオクトパスさんです。


「えっ?」


 魔力を高めて発動した能力によって、あなたとロードオクトパスが入れ替わったのです。これこそが最強の反転能力、リバースなのですよ。


「今のが、リバース?」


 リバース能力は、対象のお相手とあなたを、反転させる能力です。全てを逆にすると不利になる可能性も考えられますが、バス子の制御により、なるべく都合の良い部分だけを逆にすることが出来るのです。


「長かった……。やっと、異世界最強みたいな展開になってきて安心したよ……」

 あなたの声は、ロードオクトパスの中央下部にある口から出ています。


 今回の場合、あなたは『不完全なロードオクトパス』となりました。完全であれば、ロードオクトパスの口からあなたと全く同じ声が出るはずがないからです。


 ロードオクトパスのほうは、『あなたの重い剣を持った人型』に改変しました。あの姿はロードオクトパスが人型に変身した時の姿なのでしょうが、レベルはあなたと入れ替わっています。あなたがレベル59のロードオクトパスになり、ロードオクトパスのほうはレベル1のザコとなりました。


「バス子さんのザコって説明に悪意を感じるんだけど……。私のレベルだから、私がザコだよね?」


 悪意はございません。それよりも、今ならあなたはレベル1になった元ロードオクトパスの幼女をひねり潰すことが出来ます。

 ブラックリバース様というご尊名(そんめい)にふさわしいブラックのボディで()し潰すなり、吸盤つきの長い足で絞めつけるなり、お好きな方法であの魔物を退治して下さい。


「いや、相手は魔物じゃなくて女の子だし……」


 あなたが悩む中、あなたのほうを見上げるミリーナさんが、信じられないといったお顔になっていました。あなたとロードオクトパスの立ち位置が逆になるのを、ミリーナさんは見ていたのでしょう。

「どういうことなのッ! リバー!」


「ええと……、私、ロードオクトパスって魔物と入れ替わったみたいです。それで、向こうにいる女の子が、ロードオクトパスっぽいです」

 あなたはタコ足の一本を幼女へと向けました。


「それなら早く倒さなきゃ! リバー! あいつを叩きつけなさいッ!」

「なんでそんなことをしなきゃいけないんですか?」

「なんでって……、あいつはグッティとスターリングさんを殺したのよ! 仲間が敵を討つのは当然でしょう!」

 ミリーナさんは涙目ながらも、苛立ったご様子で主張しています。


「当然?」

 あなたはその言葉に強い反応を示したようでした。


「……ごめんなさい、バス子さん。せっかくリバース能力を使ってくれたのは嬉しかったんだけど、今から元の姿に戻せる?」

 はい。能力の解除には、さほどお時間は頂きません。ですが、またリバース能力を発動するのには時間がかかります。


 本当によろしいのですか?


「うん、お願い」


 あなたからのご確認の後には、バス子が速やかに双方を入れ替えます。お互いに、ダークブルーの光に包まれて、元に戻ります。あなたは再び、溶けるような奇妙な感覚になっていました。


 巨大なロードオクトパスと、大剣を持ったあなた。ミリーナさんが再び入れ替わりを目の当たりにし、すぐに察したようでした。

「どうして戻ったのよっ?」

 戸惑うミリーナさんに対して、あなたは剣を魔法で収納した後に、彼女を睨みます。


「ミリーナさん、仲間が敵を討つのは当然だって言いましたよね。確かに仲間ならその通りだと思いますけど、――何が仲間ですか! 仲間なら! 仲間に対して膝蹴りなんてしませんよ!」


 あなたの正論が静かな草原で響き渡りました。


 ミリーナさんも、あなたに膝蹴りをしたことを多少は後ろめたく思っていたようですね。彼女の態度で分かります。


「でっ、でもっ! その怪物を倒さないと、この辺りを誰かが通るたびに襲われるのよ!」

「ミリーナさん達みたいに、いきなり襲いかかったりするからじゃないんですか? 私は手出ししなかったから、一度も攻撃されませんでしたよ。仲間にすら膝蹴りされる私でも、ね」


「ひっ、膝蹴りしたのだって、リバーがいけないからじゃないっ!」


「確かにミリーナさんの時は、私にも非があったかもしれないですけど、スターリングさんは協調性に欠けるとかいう理由で膝蹴りしてきたし、グッティさんなんて、逃げだす前に私を膝蹴りしたんですよ! 何考えてるんですかあの人!」


「蹴ったからって、殺されるほどのことじゃないでしょうッ!」


 叫ぶミリーナさんにお伝え下さい。


 グッティさんは生きています。

 ついでに、スターリングさんもです。


「二人とも、生きてるらしいですけど」

「なんで分かるの! それに、なんで変な能力を持っているのよっ? アナタは何者なのッ?」


 この愚かな小娘には、バス子が実体化して、ご説明をして差し上げたほうがよろしいでしょうか。


 あなたがダークブルーの光に包まれ、――ついにバス子が実体化します!

結局は、リバーはすぐにリバース能力を解いてしまいました。敵の目の前で優位に立てる能力を解くのは非常に危険ですが、今のリバーにとっての敵は攻撃してこないロードオクトパスではなく、都合のいい仲間を語るミリーナだったのです。


今回も読んで頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ