第3話 噂の勇者オークション開催!
タイトルでネタバレしている部分です。
大勢の見物人が見守る中、勇者オークションがおこなわれます。
冒険者達の熱気とともに、王宮内は白熱しました。
あなたの前に並んでいた、レベル86を誇る勇者ハム様。
彼は度重なる入札により、本日の最高落札額を叩き出します。
そうして、お次はあなたの番です。
「ではぁー、次の勇者オークションを開始しまぁーす」
オークション進行役の綺麗な女性は、急にやる気のない声になりました。
「この人、レベル1の魔族だそうでーす。以上。はい、オークション開始ぃ~、十万ビルからー」
あなたにだけ自己紹介の時間が全く与えられずに、あなたの番が始まりました。
これまでの熱狂が嘘のようです。皆が静まり返りました。
誰一人として、あなたに入札をしようとする冒険者はいません。
「そんな……」
「だーれもいませんねー。はい、終了ー。次の勇者、行きまーす。――あんたの入札は終わったんだから、とっととそこから退いて! 邪魔よッ!」
文字通り鬼の形相の女性から必要以上に突き飛ばされ、あなたのオークションは終了しました。……非常に残念な結果です。
「はーっはっはっはっ! レベル1のザコごときに十万も払う冒険者がいるはずなかろうが! 五百ビルでも惜しいぐらいだ! いや、私なら五百ビルで落札して即刻処刑台送りにするがなッ!」
言いたい放題の王様に対して、あなたの怒りが頂点に達します。
「私は魔王の手下じゃない! いい加減にしてッ!」
「未だに生かされているだけありがたいと思え! 何がシーフだ、洒落た言いかたをしおって! お前なんかはクズらしく今後はドロボーを名乗れ! そして、ドロボーにはドロボーらしく牢獄に入ってもらおうか!」
「何も悪いこともしてないのに、なんで牢屋行きになっちゃうのッ!」
「勇者オークション規約には、落札されなかった転移者は、翌週の一般の人材オークションで再出品されると明記してあるからだ」
「そんなふうになってんなら先に説明しとけよっ!」
「クズに説明する必要があるのか?」
「あと人を扱ってるのに出品とか言うな!」
「そんなことはどうでもいい! お前はこれから一週間、牢獄の中で魔王を信奉したことを悔いるのだな。安心しろ、最低限の生活は保障してやる。――このドロボーを連行しろ!」
あなたは兵士に捕まり、なすすべもなく、強引に連れて行かれます。
そして、薄暗くて不気味な牢獄にぶち込まれました。まさに非人道的で乱暴な扱いです。あなたはか弱い少女ですのに、配慮すら微塵もありません。
牢獄内は、独りで過ごす分にはそこそこ広いですが、広いかどうかは、さほど意味をなさないでしょう。
「コレに着替えろ、二十四号」
囚人番号で男性兵士に呼ばれたあなたは、檻の出入り口から薄汚れたジャージのような囚人服の上下を投げつけられました。
「……こんなのに着替えるの?」
「着替えろと言っているんだ! 早くしろッ、時間泥棒が! 誰のためにこんなところまでわざわざ案内してやったと思ってる!」
「……着替えるんで、ちょっと離れていてくれませんか?」
あなたが下出になると、兵士はあなたのお顔に着目しました。
「ふん……そうか、お前は女か。胸がないから分からなかった」
「どこまでも失礼な連中ばっかり!」
「お前は幸運だな。胸のない女に俺は興味がない。だから、俺がこの場でずっと立っていても、俺にはなんの得にもならないということだ」
兵士はあなたのお着替えを見逃さないことを遠回りに肯定します。
あなたは困ってしまいました。
「……あっ、そうだった。私、下に体操着、着てたんだ。良かった……」
あなたは牢獄の端に移動します。兵士に背を向けて、ブレザー、スカート、ブラウスの順に脱ぎ、体操服の上から茶色い囚人服を着ました。
「下に一枚着ていたお前は本当に運がいい。もっとも、そんな貧相な裸を見せられても、多少の興奮がある程度で終わっただろうがな」
「この変態ッ!」
「その変態がな、お前の食事を運んで来るんだぞ? 今後は言葉に気をつけろ。今回だけは見逃してやる」
檻は鍵がかけられ、裸を拝むことが叶わなかった兵士は去って行きます。
「なんで私がこんな目に……ッ」
あなたは悔しそうに言葉をつなぎます。ですが、何を喋ったにしても、この暗がりの牢獄内が楽園に変わることはないでしょう。現状の周囲の臭気は、衛生上、非常に好ましくありません。
「アナタさぁ、さっきからなんで解説ばっかしてんの! うるさいんだけど!」
それがあなたのためになると信じているからです。
「少しは静かにしててよ! 黙れッ!」
はい、分かりました。
あえて、あっという間に勇者オークション部分を終了しました。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。




