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第28話 仲間と淫魔、どちらを選びます?

リバー/バス子と、ミリーナ/グッティ/スターリングの対立構造が浮き彫りになってきました。

 あなたは紺色ハーフパンツの体操着姿で、ミリーナさん達と宿屋さんの前で合流します。その後もあなたは彼女達と積極的に友好を深めることはなく、お金の都合で朝食は抜くことになりました。


 午前中はフレイトの町を出て、草原で再びスライムさん達と戦いました。

 あなたはまたもレベルが上がりませんでしたが、囮になるという立ち位置が確定します。


 昨日と本日のスライム討伐の報酬を、フレイト市営の冒険者ギルドで受け取れるとのことでしたが、その際も、あなたは皆さんが戻るまで建物の外で待つことになりました。


 分配された五百ビルは、お昼に食べたパンとサラダで消えました。あの時、サラダにドレッシングをかけられるという贅沢が出来たのは、唯一の幸せでした。


 不満ばかりが溜まるあなたでも、ミリーナさん達に逆らうことなく、同行を続けます。一応だとしても、あなたもこの冒険者パーティーに所属しているからです。


「ギルドで討伐依頼を受けて来たから、これから『ランドクラーケン』を退治しに行くわよ。最近、この辺りに出て来るらしいのよ」

 ミリーナさんがめずらしくあなたに話しかけてきました。


 ランドクラーケンとは、巨大なイカのような姿をした上位の魔物です。一般的なイカさんとは違って、主に陸上で生活をしています。


「ランドクラーケンはな、大きなイカの化け物だ。基本的な個体なら、レベルは30前後だな。今度の相手はスライムと比べても強いが、私達が力を合わせれば、一匹なら勝てない相手じゃない。またお前には囮になってもらうが、私が守るから心配しないでいいぞ」


「……スターリングさん。私、もう囮は嫌なんだけど」

 二日連続でスライムさん達から攻撃を受け続けたあなたの結論でした。


「なあ、リバー。お前には弁護士を呼ぶ権利はあるが、パーティー内での拒否権はないんだぞ? 新入りの下っ端が囮をやるのは当然だろうが」

 腕組みしながらスターリングさんは言いました。この人は女性ですが、脅し声が男性的です。


「そうよ。そのぐらいしか、アナタは役に立たないんだから」

 グッティさんもスターリングさんに同調します。


「私が囮をやっても、回復魔法かけてくれないですよね?」

 午前中の戦闘でもそうでした。

「アナタなんかに使うのがもったいないからよ。アナタは私達の指示にだけ従っていればいいの。お分かり?」

 何気に、グッティさんがあなたに対して一番態度が大きいような気がします。ツンデレという、ツンツンした態度とデレデレとした態度を併せ持った属性がありますが、彼女はツンのみです。それではただの性悪女(ヘルキャット)でしかありません。


「早く行きましょう、時間の無駄だわ」

 すたすたとミリーナさんは歩き始めました。三つ編みは揺れますが、胸部は絶対に揺れませんでした。


「時間よりも、リバーの存在自体が無駄よね。背が大きいだけじゃない」

 グッティさんが続きます。あの耳前の細い三つ編みを引っ張ってこらしめてやりたいです。


 あなたが不満げにスターリングさんを見ていると、彼女はわざとらしくやれやれと言いたげに、両手を上げて顔を左右に振りました。それから、二人の後を追います。

 あなたもスターリングさんのしぐさが頭にきたと思いますが、渋々三人の後ろにつきました。


 これからまたフレイトの町の壁外に出て、周辺に出没するという魔物の退治をするわけですが、あなたにお尋ねしたいことがございます。

「なんなの?」

 皆様はランドクラーケンを退治するおつもりのようですが、バス子の探知能力によると、ランドクラーケンではなくてもっと強い魔物……『ロードオクトパス』がいる可能性があります。


「イカじゃなくてタコなの?」

 はい。ロードオクトパスは巨大な陸上のタコさんなのですが、どうも地中に潜っていて、こちらに近づいているようなのです。もしもロードオクトパスさんでしたら、レベルが50ぐらいになりますので、このまま襲われたら危険かもしれません。

「それってまずいじゃない! みんなに知らせないと!」


 そこで、危険を回避するためのご提案がございます。

「危険っていう割に、すごく落ち着いているよね」

 はい。ランドクラーケンさんでもロードオクトパスさんでも、あなたの能力で撃退出来るからです。

「そんなわけないでしょ? レベル5ぐらいのスライムだって倒せないのに」


 ご説明いたします。


 あなたとバス子の『リバース能力』は強力ですが、発動までのお時間がかかることに加えて、対象を先に定める必要があります。例えば、ランドクラーケン向けのリバース能力の発動準備中に、ランドクラーケンではなくロードオクトパスが現れた場合、ランドクラーケン用のリバース能力を解除して、改めてロードオクトパス向けの発動を準備しなければなりません。

 あなたには、ランドクラーケンとロードオクトパスのどちらを標的とするか、決めて頂きたいのです。

「それならバス子さんの言う通り、ロードオクトパスっていうタコのほうでお願い」

 即答でよろしいのですか?

「もちろんだよ。信用するならあの人達じゃなくてバス子さんのほうだもん」

 ありがとうございます。


 では、あなたの魔力を用いて、対ロードオクトパス用の対策を採らせて頂きます。

名ばかりの仲間より、これまでともに進んできた相棒のバス子を迷わず選んだリバー。

お互いに信頼し合える絆は強いのです。そうであると願いたい。


今回もお読み下さり、ありがとうございました。

次回は魔物とのバトルです。

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