第27話 あなたは野宿で朝を迎えます
女子高生が野宿……。悲しいです。
あなたが目覚めましたので、ごあいさつを。
おはようございます、あなた。
「ああ……おはよう、バス子さん」
木々の点在する草原で横になっていたあなたは、お体を起こしました。
素晴らしい朝でございますよ、あなた。
あちらで夜盗さん達が捕らえられています。
「えっ?」
あなたはそちらを向きました。
「何あれ……」
クモの糸で作られた、白くて大きな球体です。二つあります。
昨晩、無防備なあなたを襲おうとした夜盗さんが二名いたのですが、たまたま町内であなたについて来た、魔物『ハエトリグモ』さんが捕獲して下さったのです。
「異世界にもハエトリさんがいるの? というか、魔物なの?」
はい。
今、あなたのスカート越しの膝の上にのぼって来ました。
大きさは一センチほどで、茶色一色です。あなたの知るハエトリグモ科に属するクモさんと、同一の形をしています。
ちょこんと乗ったハエトリグモさんはあなたのほうを向いて、微動だにしません。
「普通のクモはちょっと苦手だけど、ハエトリさんはかわいいよねぇ。ありがとう、ハエトリさん」
あなたが笑顔で感謝すると、ハエトリさんは軽く頭を下げました。
「日本語分かるの?」
あなたの問いには答えず、ハエトリさんはぴょんぴょんと跳ねて去って行きました。
「あんなにちっちゃいのに、どうやってあんなに大きな塊を二つも作ったんだろう?」
不用意にあなたが球体に近づいた途端、クモの糸が解けるように分散し、一気に消えました!
「わっ!」
あなたも驚いてしまいます。
球体の中に閉じ込められていた夜盗二名が地面に落ちました。どちらも十代の少女で、夜盗なのに冒険者のような格好に見えます。
「夜盗じゃなくて冒険者なんじゃない?」
野党? 与党の批判ばかりする方々のことでしょうか?
「朝っぱらから偏った政治批判はやめて」
少女達は意識を取り戻したようです。お二人は女子高生ぐらいの年齢で、もし女子高生の制服を着ていたら、さぞかしかわいらしい二人組だったことでしょう。
「あの……大丈夫ですか?」
心優しいあなたは、すかさず尋ねました。
「「ごめんなさーい!」」
お二人は一目散に逃げてしまいます。どうも、あなたがクモの糸に閉じ込めた大魔法使いと誤解していたようでした。
ともあれ、あなたは被害を受けることなく、一夜を過ごせました。良かったですね。
「そこだけは良かったけど、いい加減まともなところで寝たいよ。異世界に来てから、ヒドい目に遭ってばっかり……。人間はロクなのいないし、おさかなどりさんとかハエトリさんとか、魔物のほうがよっぽど信用出来そう」
あなたが経験上おっしゃることは、正しいのです。
家で時々見られるハエトリさんは、かわいいですよね。
あと、作中の夜盗二人は美少女設定です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。




