表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/72

第2話 あなたは疑いをかけられます

いきなり不穏な状況に……。

「……訂正しよう。素晴らしい力があるのは、君達全員じゃなかったな。――コイツを除かねばならん!」

 あなたに鋭く指を向け、王様が怒鳴りました。

「お前は魔王一派の力を持ったクズだ! なんでこんなやつが紛れ込んでいるッ! とっとと捕らえよ!」

 その声に外側で待機していた兵士達が応じ、すぐさまあなたは両側から押さえつけられます。

「いきなり何すんの……ッ!」

 無理やり跪けられてしまったあなたの前に、王様が来ました。凄みのある形相であなたを見下ろします。


「いいかよく聞け、小娘が。お前には他の者と違って禍々しい魔王の力が宿っている。そういうやつが万が一にも現れた時、この国は滅びるという言い伝えがあるのだ」

「そんなのただの言い伝えでしょうっ!」

「ああ、そうだ。確かにお前がこの国の脅威にならない可能性もじゅうぶんにある。だが、逆もまた然りだ。――だから、お前には即刻、土下座をして宣言してもらおう。私は絶対にこの国には逆らいません、魔王を倒しますとな!」


 あなたの前に別の兵士が来て、槍を向けます。


「ふっざけんな! そんなこと、脅されながら約束出来るわけないじゃない!」

「ふん、そうだろうな。さすがは魔王の手下だ」

「魔王なんて知らないってば! なんで異世界に来た途端にこんな仕打ちを受けなきゃいけないのっ!」


「ステータス画面は絶対だ。そこに魔王と書かれている。そんなやつが召喚されたのは初めてだ。すでに私の暗殺を企てているかもしれん。……お前はシーフなのだろう? どうせここに転移する前だって、窃盗や詐欺、果てには殺しといった悪事を重ねて生きて来たに違いない」

「リバー、そうなのか?」

「私を疑うなんて南君ひどい! 私、遅刻だってしたことないんだよ! 犯罪に手を染めてたら、とっくに高校を退学させられてるって!」

「ああ、そう言われてみればそうか。八意はまじめだからな。あと俺はハムだ」

「そんな訂正よりも助けてよ!」

「そうだな。……王様。こいつはちょっと口が悪いけど、盗みや人殺しをするような人間じゃないんですよ」

「南……じゃなくてハム君! 私のことそんなふうに思ってたのっ?」


「とりあえず、穏便に拘束を解いてくれませんかね」

「有能な勇者がそこまで言うなら、いいだろう。放してやれ」


 やっとあなたは解放されましたが、もはやこの五十代ぐらいの王様に対する敬意は残っていません。王様を睨みつけたままでいます。


「一応、お前も勇者オークションには参加させてやるが、私に歯向かうような輩には誰も入札はしないだろうな」

「私だって怒鳴りたくなかったよ! 先に仕掛けてきたのはアンタ達のほうじゃないッ!」

「黙れクズが! レベル1のシーフの分際で神聖な勇者オークションに出られるのだ、光栄に思うがいい! シーフは勇者じゃないんだぞッ!」

「知ってんよバカ!」


 あなたと王様の仲は険悪そのものです。ですが、この世界では、特に一部の人々によって、魔王や魔物がものすごく憎まれているということをご理解下さい。


「そこにいる魔王の手下のせいで進行がだいぶ遅れてしまったが、これより勇者オークションの説明をしよう」


 王様はそう言った後、あなたを囲っていた兵士達とともに少し下がりました。


「勇者オークションとは、冒険者ギルドに所属する冒険者達が参加し、君達勇者を競りにかける制度のことだ。冒険者パーティーのリーダーが入札に参加し、勇者に対して競り合い、最も高値をつけた冒険者パーティーにその勇者が加わるという仕組みだ。開始時の価格は十万ビルからで、千ビル単位で値は吊り上がる。ビルは、我が国の通貨単位だ。なお、オークションの落札者が我が国に支払う手数料は、落札価格の十パーセントになっている」


「国がお金を取るんだ……」

 小声でおっしゃたあなたに対して、そうですと肯定します。


「手数料を引いた落札額は、君達勇者への投資となる。その資金を冒険者パーティーに返す必要はないが、その分以上の対価を彼らに払えるよう、精進するように。勇者には手持ちの資金が入り、国には手数料が入り、冒険者は三十日間、落札した勇者を味方に出来る。三者に利益のある制度が、勇者オークションだ」


「奴隷売買と変わらないじゃない」

 はい。奴隷売買や奴隷オークションも、この国では合法です。

「……なんだろう。この国が救いようがない国だって、早くも分かっちゃったよ。早く魔王に支配されちゃえばいいのに……」

 あなたに同意します。


「ではさっそく、開始しよう! 全員、一列になって整列せよ! 自分の番が来たら、自らのステータスを公開し、冒険者達にアピールをするのだ!」


 王様が全部ご説明をされたので、解説キャラクターの淫魔人形があなたにご説明を繰り返すまでもありませんね。

 では、あなたもご納得はされていないでしょうが、列に並んで下さい。

「うん……」

 あなたはあまり気乗りしない印象でした。

異世界に転移して早々、酷い目には遭いたくないですよね。


お読み頂き、ありがとうございます。

次回はオークション開始です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ