第14話 あなたの制服を取り戻すために
リバーがお城に再びやって来ました。
あなたは少し前に出たばかりのお城に、戻って来たのです。
門番の兵士さんが二人、左右に立っていますね。いつもの兵士さんと、過去に膝蹴りをされたことのない、あなたが城外に出た時にいた兵士さんです。
あなたは蹴られたことがないほうの兵士さんを頼りました。
「あのっ! 私が持って行くのを忘れてた着替えを取りに来たんですけどっ!」
「何故俺に言わない?」
いつもの兵士は殺気を発しながらあなたに詰め寄り、――またあなたを膝蹴りしました!
「こっ、こうなるからです……ッ!」
「だろうな」
倒れたあなたを兵士は見下ろしています。
「二度と来るなと言ったはずだよな?」
「アナタがさっさと牢を出るよう急かしたから……、着替えを忘れちゃったんですよ……っ!」
「この俺に口答えするとは、いい度胸じゃねえか。だが、俺は心の優しい正義の兵士様だ。きちんと責任を持って、お前の服を牢屋から取って来てやるよ」
その兵士はお城の中へと入って行きました。
「お前さんも大変だなあ」
残った兵士が転がるあなたに言います。
「今日のあいつは、喋りたくない相手と喋って機嫌が悪いんだよ。お前さんを引き取りに来たオークションの奴な、あいつの兄貴なんだよ。似てただろう? 本人は否定するがな。あいつ、兄貴に恨みがあるようで、ちょっと兄貴の話をするだけでも怒り出すから、気をつけたほうがいいぞ」
痛がる今のあなたには、どうでもよい情報でした。
なんとかあなたは立ち上がり、扉の前であの兵士を待ちます。相棒の兵士にも蹴られないよう、あなたは警戒を怠りません。
数分後、あの暴力兵士が戻って来ました。しかし、あなたは強張ります。
「蹴らないから安心しろ。受け取れ」
あなたは即応で制服を受け取りました。
紺色のブレザーとスカート、白いブラウス、青いリボン、全てそろっています。牢獄が暑かったため、見張りのいない時に脱いだ体操着の上下、紺色の靴下も、きちんとありますね。
「……ありがとうございます」
渋々でも、あなたは兵士に感謝しました。
「どこかで着替えて来い。その囚人服は必要ないだろうから、返してもらおうか。我が国はエコロジー精神が強いからな。……ん、どうした?」
あなたは兵士の顔がオークション主催者の顔と雰囲気が重なることに気づき、つい凝視してしまったのです。
「あっ、なんでもないです」
「本当か? 言わないなら蹴るぞ?」
「そっ、そのっ、怒らないで聞いて下さいよ。そっちの兵士さんが、あなたとオークションの人が兄弟だって言ってて……」
「ちいっ、余計なことを」
兵士は相棒を睨みました。
「確かにあいつは兄だが、ずいぶん前に兄弟の縁は切った。あんな不安定で鬼畜な仕事をやってるクズより、お国を守る兵士様のほうが偉いに決まっているんだ。くそぉ、あの野郎……」
「じゃっ、着替えて来まーす!」
即座にあなたはその場を離脱しました。
「ひと気のないところで着替えないと……」
そんなあなたに、おすすめの場所がございますよ。
あちらに向かいますと、公園内に池があります。そちらでお体を綺麗にされるのが良いでしょう。
「えっ? 池? 大丈夫なの?」
ご心配は要りません。便利な魔術があるのです。
「それなら、バス子さんにお任せするねっ」
あなたはご承諾をして下さいました。
リバーが着替えれば、女子高生が一人、出来上がりです。
最後までお読み下さり、ありがとうございます。
次回はお色気回となります。