コント「普通の人」
A 「いやぁ、田中のやつ遅いなぁ。
3時に待ち合わせって言ったのになぁ・・・」
(B、歩いてくる)
B 「・・・え!?ウソっ!マジかよ!やばっ!
え!こんなことってあんの!?うわー!すげー!」
A 「え?俺・・・?」
B 「(Aを見ながら)マジテンション上がんだけど!やっば!」
A 「俺みたいだなぁ、あんな知り合いいたっけなぁ・・・」
B 「どうしよー・・・よしっ!行ってみよう!・・・すみません!」
A 「・・・はい?」
B 「あの!握手してもらっていいですか!?」
A 「え?僕・・・ですか?」
B 「はい!いや、マジであえて光栄です!(自分から強めに握手しにいく)」
A 「えっ?僕、別に有名人じゃないですけど・・・」
B 「はい!」
A 「え?じゃあなんで?」
B 「あなた!『普通の人』ですよね!」
A 「・・・はい?」
B 「いやぁ、こんな『普通の人』に会うの、生まれて初めてだ!」
A 「え?それだけ?」
B 「はい!僕、普通の人が大好きなんですけど、
ここまで普通の人に会ったことなかったから!」
A 「なんかすごいディスられてる気がするなぁ」
B 「え?ディスってないですよ!だってスゴい普通じゃないですか!」
A 「そんなに普通でもないと思うけどなぁ」
B 「そんなことないですよ!身長いくつですか?」
A 「170cm」
B 「体重は?」
A 「70kg」
B 「いや、日本人男性のド平均ですよ!まさに中肉中背じゃないですか!」
A 「いや、身長体重だけでしょ?」
B 「服装もすごい普通ですよー!パーカー・ジ―パン・スニーカー!
オシャレすぎず、ダサすぎず!まさに普通!」
A 「・・・やっぱりディスられてるなぁ」
B 「一個質問してもいいですか?」
A 「なんですか?」
B 「あの・・・好きな食べ物ってなんですか?」
A 「カレーですけど」
B 「うわー!超普通!日本人の好きな料理第1位!ザ・普通!
もう普通すぎて神!」
A 「そろそろ怒っていいですか?
だいたいね!僕のこと普通普通っていいますけど、
僕にだってすごいことあるんですよ」
B 「え!普通じゃないんですか!?
いったいどんなところが!」
A 「(カッコつけながら)
僕ね、こう見えても、読者モデルやってるんですよ」
B 「へー普通じゃないですか」
A 「え!?読者モデルだよ!?
一応憧れの的だったりするよ?」
B 「(淡々と)
いや、読者モデルって、結局『読者』モデルじゃないですか。
ズバ抜けた才能があれば読者モデルじゃなくて、
ちゃんとしたモデルになってるわけだし。結局アナタ、普通の人なんですよ。
そもそも読者モデルごときで人に誇ってるあたりが普通っていうか、志が普通。
何かを成し遂げようとか、そういう野心みたいなものがないし。
『井の中の蛙大海を知らず』的な?とにかくそのスタンス普通なんですよね
常人の域を出ないっていうか…」
A 「(少し目頭を押さえながら)ごめん、俺が悪かった。そのあたりでやめてくれ…」
B 「あ!もしよければ、一緒に写真撮ってもらえませんか?」
A 「もうなんでもいいですよ!写真撮るのね!」
B 「やった!ありがとうございます!すみません!
そこの人!そこの普通じゃない人!写真撮ってもらってもいいですか?
いいでしょ!こんなに普通の人と写真撮れるなんて!」
A 「いや、マジで恥ずかしいからやめて!」
B 「じゃあ、掛け声おねがいしてもいいですか?」
A 「俺が?じゃあ・・・ハイ、チーズ!」
B 「うわぁ!普通すぎるー!超やべー!」
A 「もうどうでもよくなってきた・・・」
B 「ありがとうございます!
(スマホを受け取って画面を確認する)
うわ!すげえ!snow使っても普通ってマジでやべえ!」
A 「早く解放してくれ・・・」
B 「ありがとうございました!今日のことは一切忘れません!じゃあ!」
A 「はい、じゃあね・・・
あっ、田中遅いよー!大変だったんだから!」
B 「たたたた、たなかぁ!?あの、あなた・・・すごく、普通の苗字、されてますよね!!」
A 「頼むからどっかいってくれー!!」