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男子校に入学したはずなのに、海でナンパにあった件

どうも皆さんおはこんにちばんは!怪物mercuryです!

最近生活が自堕落になっている気がします、努力します、改善の。はい。

 前回のあらすじ!合宿に来た海でナンパに遭った!カオリに対して武器を出されたので、俺は慌てて叫んだ!以上!


 ……はっ、俺は何をやっていたんだ。今はものすごくピンチじゃないか。


誰のって……ナンパ男たちのである。


「あんたら!今すぐ逃げろ!」


「へっへっへっ。威勢のいいお嬢ちゃんじゃねえか。」


「そういうのも嫌いじゃないぜー、ほら、こっちこいよぉ!」


 ふたりとも、ナイフを構えたり、スタンガンをバチバチ鳴らしたりしてカオリをあおっている。


「ほう、じゃあ行ってやろうじゃないか。」


 と、目を光らせたカオリ。


「そうこなくっちゃなぁ!」


 俺はそいつらに、心から同情することになる。


「ごらっしゃぁ!」


 とてもじゃないが女子の、いや、この世の者とは思えない叫び声のもと、カオリは勢いよくナンパ男の股間を蹴り上げた。


 海パンの中からゴシャッという音がして、思わず俺は自分のを抑える。あれは絶対痛い。


 かがんだそいつの頭をアイアンクローで仕留めると、その手をかがんだまま肩まで砂浜に突っ込む。

俺もアオイも、そしてナンパ男たちも何をしようとしているのがわからず、首を傾げた。ここまでの時間、カオリが動き始めてから約0.5秒。


「どっせーい!」


 今度はカオリは、体全体を回すようにして砂浜を猛スピードで掘り返した。そのスピードは、腕の残像が見えるほどである。その威力により、掘り返された砂はショットガンの弾のようにナンパ男たちに襲い掛かる。


 彼らの顔面は、とてもじゃないがコンプライアンス的に説明できないような顔になった。


 ナンパ男たちは息も絶え絶えで、「覚えていろ」的なセリフを吐く元気すらなさそうだ。救急車だけ呼んどいてやるか。


「二人とも、大丈夫かい?」


 なんだろう。カオリがやたらイケメンに……見えない。定番の流れだと、不良を追い払ってくれたイケメンに恋をするのだろう。なんたら系小説でよくある流れだ……が。


 こいつがニタァって笑うとき、砂と返り血がこびりついてて怖いんだよ。いや、アオイもなんか苦笑モードだし。


「あれー、シュガー?ブルー?スメルー?」


 ヒカル先輩の声が聞こえてくる。


「こっちこっちー!」


 アオイがヒカル先輩の声にこたえて走っていった。ていうか、「カオリ」→香り→スメルって、ちょっと苦しくね?





 帰りのバスに入ると、みんな疲れて寝ていた。先ほどのメンツは元気だが。


「そういえばカヅキ、風呂はどうするんだ?」


 アオイがごにょごにょ俺にささやくが、先ほどしおりを確認したところ、部屋の風呂は一部例外を除いて使用しないこととなっていた。


 昨日のうちに、なんでかをカオリに聞いたら、文字通り顔をつぶされたから誰にも聞く気は起きないけどさ。


 さて、こうなると大浴場を使うしかないわけだ。


 そのとき、レイナの体が動いて、ユウリが話しかけてきた。


「それなら、ユミコから伝言だぜ。『この温泉には、混浴がある!』ってな。」


 どっかで聞いたような言い回しだが、気にしないようにしよう。


 ……にしても混浴かぁ、やだなぁ。


 絶対、ろくでもないピンチに襲われるに決まっているじゃないか。カオリあたりが乱入してきて、ギャース!ってなるとか、ユミコかレイナが乱入してきて俺の貞操がピンチになるとか。


「とにかく、うちは伝えたからな。混浴使えよ。」


 たしかに、そこなら安全圏かもだけどさ……安全じゃないのよ……。





 ユミコと相部屋にされていたので、何となくそうだろうとは思っていたが、部屋が広い。たぶん、部屋だけで俺、カオリ、アオイ、ヒカル先輩が住んでいるアパート丸ごとぐらいの広さがある。


「ぜひくつろいで。」


 寝起きで若干不機嫌そうなユミコが、そう言ってくるが、この広さは逆に落ち着かないだろ。


「お風呂、先に行って。」


 ユミコがそう言ってくるが、絶対ろくなことにならんだろう。でも、ユミコこうなると聞かないしなぁ。


 仕方なしに警戒しながら混浴に入ると、運良く誰もいなかった。だよなぁ、普通そうだよなぁ。


 ガラガラガラッ。


 体も無事洗い終えて、湯船につかっていると、やっぱり来た。だよなぁ、あいつらが放っておいてくれるはずないもんなぁ。


「おっねっえっさっまー!お背中流しますわぁ!」


 あーはいはいこっちね。


 幸いにもこの温泉はにごり湯なので、完全に沈んでしまえば、ライトノベルの不自然な湯気より強力だ。


「あれ?お姉さまがいませんわぁ。男湯にも女湯にもいないと踏んだのにぃ。」


 そう言って帰る……。ことなく体を洗い始めちゃったよ!


 たまに息継ぎするたびに気配を感じてか気が付かれそうになるし。


 ガラガラガラッ。


 レイナが体を洗っている途中にまた誰か入ってきた。今度は誰だよ。カオリか?ユミコか?アオイ、ユウキ、ヒカル先輩か?


 ルナが来ないのはほぼ確実だったので、そのメンツを疑うと、入ってきたのは……。


「あれ?ボーイッシュ先輩ですわぁ!」


 ええ……。


 あの人はてっきりこういうタイミングとは無縁のキャラだと思っていたのに、どういうこと!?


「やあ、レイナ君、だったよね。今日はお疲れ様。私は諸事情で女湯には行けないからね。」


「なるほど、確かにそうですわねぇ。」


「あれ、驚かないのかい?珍しいね。」


 なんだこの会話は。こちらからも向こうをうかがえないから、どうなっているのか予想もできん。


「まあ、こういう人がいてもおかしくはないですわぁ!ププッ!」


「笑ったね君!これでも、結構大変なんだぞ?」


「そうですわねぇ。知ってますわよぉ!」


「何で君が知っているんだ……。」


 本当に会話が予想できない。だが、本能的になにかのトラウマを呼び起こさせる。


「まあまあ、お背中流しますわぁ!」


「君は私が怖くないのか?」


 怖い?実は全身入れ墨とかだろうか。いや、腕とかしか見たことないが、そんなことはないはずだし……。


「むしろ親愛の情が湧きますわぁ!」


「どうしてそうなるんだ……。」


 この二人の会話は、本当に予想できない。


「浸かるのもご一緒しますわぁ!」


「無理はしなくていいんだからね?」


 ざぶざぶと二人が湯船に入ってくる。幸いにもここの湯船は泳ぎたくなるほど広いのでばれはしない。……泳ぎたくなるほどでなければ。


 キャッキャと喜びながらレイナが泳ぎ回り、二分としないうちに見つかった。しかも、漁師が網を引き揚げるように全身を引きずり出される形で。


「あれ?お姉さま!こんなところにいらっしゃいましたの!?」


 おかげでのぼせたがな。


「何かあったのかい?」


 ボーイッシュ先輩が近づいてくる。


 ……あれ?この人こんなにスレンダーだっけ?


 ていうか、この人こんなにたくましかったっけ?


 俺と目が合ったボーイッシュ先輩は……


「キャッ!」


 と慌てて胸を隠した……が、俺の目は違う方にくぎ付けになっていた。


 先輩の下半身についている、俺のよりご立派なモノに。


「あれ?この話ってBL判定ついてないよね?今回だけ18禁にした方がよくない?」


 湯船をぷかぷかと移動してきたボーイッシュ先輩に頭をぶん殴られた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!いかがでしたでしょうか。

いやはや、この物語は急にお話の温度が乱高下するからよろしくないですね。

あ、安心してください!履いて……じゃなくて、BLじゃないですよ!ちなみにお風呂場組のみんなは今は履いてないです。

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