男子校に入学したはずなのに、強敵との対決に向けた特訓な件:ユウキの場合
どうも皆さんおはこんにちばんは!怪物mercuryです!
最近更新の時間が点でバラバラで申し訳ありません!
私は戦闘力がかなり低い。一応、お師匠様に習った子供だまし程度の超能力が使える程度、あとは大好きな甘辛RTXを投げつけると、辛さに弱い人たちがもだえるぐらい。
……圧倒的に弱い。なんだかふと、カヅキと考えていることがシンクロしたような気もして少しうれしくなったけど、そんなことは言ってられないわ。
このままじゃ、カヅキを守れる強いみんなに、おいていかれる。
ってことで、辛さが苦手な人がRTXでもだえるなら、私でもどうしようもないぐらいの辛さのRTXを作ってみるのはどうだろうと思ったの。
RTX専門店の親父さんと一緒にRTX・改を作る。これが今から私のすることよ。
「なあお嬢ちゃん、さすがに浦和の頼みと言えど、これ以上は俺もここにいるのがつらいんだが……。」
まだまだピリ辛ぐらいのRTXを作りながら、親父さんが弱音を吐く。この程度じゃあのモリアーティとかいうのを倒せないわ。
どんな激辛王でも粉末ひとつで昏倒するようなものでないといけない。そう。私でさえも。
完成したらお父様からアメリカ軍に圧力をかけてもらってB-29でも借りてRTX爆撃をしてやろう。
と、気が付くと親父さんが隣で泡を吹いて倒れている。
「ちょっと、何やってるのよ。まだまだよ?」
親父さんももう年かしら。そうも思ったが、冷静に考えたら生物学的には年を取ったほうが辛い物に強くなるはずだからそんなことはないだろうし……。
普通のRTXで160億スコヴィルのところを、今化学的に800億スコヴィルまであげた。
あとはこれの純度を高めていくだけね。
でも、これ以上どうやって高めよう。風に乗って広範囲に攻撃できる粉末爆弾型にしてあるから、形状は代えられないし……。
「お嬢ちゃん、さすがに、RTXの二トン爆弾は、テロと勘違いされるだろうしやめておいた方がいいんじゃないか?」
水をぶっかけることで一時的に目を覚ました親父さんがそんなわけのわからないことを言ってくる。
「いい、親父さん?好きな人であり、大親友でもある人を拉致しようとしてくる相手に人権なんて存在しないのよ?」
「いや、意味わかんねーし関係ない人に被害が……ん?ぎゃあああぁ!」
そう。水をぶっかけて起こしたので、周囲に飛んでいる辛み成分が水に溶けだし、さらなる激痛を招く。
モリアーティに効くかどうかわからないけど、セバスチャンだけでもこれで仕留められたらラッキー、そうでないなら残念程度に考えておこう。
さて、私の意見に文句を言い出した親父さんはセルフ粛清されたし、開発を再開するわよ。
空気と一緒に外に流れ出てしまっては大変なので換気扇を切り、シオリさん特性の蛍光灯で普通の植物の20倍光合成をする観葉植物を置いておく。しかもこの子、空気清浄機みたいな性能まであるらしい。家電メーカーが泣くわね。
さて、実験実験。
実験に一区切りついて、ふと気が付くと、あたりは暗くなっていた。もう夜かしら。
親父さんはいまだに目を回しているし、さっきの観葉植物は……あれ?枯れてる!?
そこで時計を見て気が付く。朝始めた実験のはずなのに、まだ数時間しかたっていない。体感時間がおかしいのかしら!?
手足と体がしびれる。まさか、私の体がRTXに負けているというの!?今までどんな劇物、激辛、毒薬にすら屈しなかった私の体が!?
いいや負けない。激辛なんかに負けてたまるか。致死量10グラムが何だ。もういつだったか忘れたぐらい前からこのRTXと一緒にいるの。
私は、そんなことぐらいでは屈しないわ!
体中から汗が出てくる。すごい汗なのでとりあえず一番上の服を脱ぐけど、どうしようもないから、覚悟を決めて水を飲むことにした。
「ぐっ……!」
思わず声が出そうになる。いつぶりだろう、この感覚。辛い。これは、辛いという感覚なんだ。
読者の皆様が「何言ってるんだこいつ」という顔をしているのはわかる。けど、この辛さを知りたいなら人の領域においては無理なのよ。
そう、つまり、もっと高みへ!
辛さを追い求めるのよ浦和ユウキ!
手足のしびれも、さらなる辛さへの一歩なのよ!もっと、もっと辛い物を食べましょう!視界が暗い?なら、辛い物で気付けにするの!
あ、あれ?もっと暗くなってきたわ……どうしてかしら……。
今度こそしっかりと夜の状態で、目が覚めた。隣には、防護服に身を包んだ我が家のメイド、ユリアさん。
「ユリアさん……。どうしてここが……?」
「決まっているじゃないですかお嬢様……。」
そうよ、これは主従の愛ってやつよね!
「近隣の人から、この店の中で人が二人倒れている、と通報があり、さらに駆け付けた警察官も次々に倒れていったからですよ。」
あ、あら?
「運よく公安で一度劇物対策を一通りやった方がいて、その方がお嬢様の情報を送ってくださり、周囲を浦和家で保護して、わたくしが迎えに来たのです。」
なんか、被害が大きくなってはいないかしら?
「ちなみに、この周囲二キロ、風下には五キロまでにすでに避難指示が出ており、この建物自体は自衛隊の対テロ部隊によって包囲されています。」
事態も大きくなってはいないかしら?
「皆さんは銃を構えていらっしゃるみたいなので、下手な動きはしない方が得策かと。ですが、捕まるのがおいやでしたら、わたくしが車を出します。」
うーん、どっちも9割死刑ね……
「ちなみに、他のドライバーは?」
「西園寺家に比べて圧倒的に権力のない浦和家を相手に命を懸けてまで運転手をやりたいという方がいらっしゃるのですか?」
たまにこのメイドは忠誠心が足りないと思うの。
「……いいわよもう。素直に捕まるから。」
諦めて親父さんを引っ張り上げて外に出る。自衛隊の方々はみんなマスクをしていらっしゃる。それも、ガスマスクとかじゃなくて宇宙服とかそんな感じの。
「み、皆様ごきげんよう。浦和家長女、浦和ユウキです。」
つい、初対面で身分のある人にはこうしろとお父様から言われていた挨拶をしてしまう。すると、
「もしかして、カヅキ様の側近様でございますか!?」
と声をかけられた。
「もしかして、『人間国宝、生きた世界遺産、麗しき佐藤カヅキ様を守ろうの会』略してNIUSCの人!?」
「そ、そうです!今日も、カヅキを守るための薬品の実験をしていて!」
「なんだ!それならそうと言ってくだされば!おいみんな!この方は安全だぞ!」
どうやら隊長らしき人のおかげで皆さんが銃を下げる。いくらカヅキが好きと言えど、このモテっぷりは妬けるものがあるわね。まあ、私はカヅキにさえモテればいいけど。
「いやはや、それなら自衛隊駐屯地でも、米軍基地でも、お好きな実験室をお貸しいたしますのに!」
そう言いながら、隊長はマスクを外し……
「うぐっ!?」
と言って倒れた。
「隊長!」
「隊長!?」
隊員たちが皆マスクを投げ捨て隊長さんに駆け寄る。もちろんみんな倒れた。
「さて、ユリア、帰るわよ。」
もう諦めて家で実験をすることにした。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回の特訓編、本当は一日二話投稿にしたかったのですが、そろそろ忙しすぎて病みそうなのでご勘弁くださいませ!