熟すまでは
収穫を楽しみにする者は、
熟した実を啄む鳥を恨む。
鳥には鳥の命があって、
草木には草木の命があるのに。
お前が啄むならそれもいいと、
すべてを許してしまえるなら、
鳥は必要以上に啄むことは
ないと気づくことがある。
疲れた頭に浮かぶのは、
色づくはずの実とその木。
鳥は啄みに来るだろうか。
その鳥を恨まないだろうか。
わからないけれど、
熟すまでは生きていたい。
まだ熟していないまま、
落っこちてしまうのは悲しい。
もたらす未熟の恨みごとに、
紛れてしまわぬよう。
遠くから、高みから、心根から、
落っこちてしまわぬよう。