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授業が始まって一週間がたった。
私は、前世のアドバンテージがあるし、しっかりと予習をしているため、勉強は、どうにかなるだろう。ただ、部活をどうするかが、今の悩みだ。
とりあえず、いろいろ見て回ったがまだ決められないでいた。
(どうしよう、前世では、テニスをしていたけど、もう一回したいとは、思わないしな。)
授業が終わり、どうしようか悩んでいると、星野さんに声をかけられた。
「ねぇ、北条さん。部活決めた?」
「ううん、まだ、悩んでいて。」
「悩んでいるなら、野球部に入る。」
「えっ!強制⁉︎」
「ほら、いくよ」
「ちょ、ちょと待ってよ。」
私は、強制的に野球部の練習場に連れて行かれた。そこには、7人ほど集まっていた。星野さんに連れられた私の姿を見ると、喜び出した。
「ナイスだ、星野!これで大会に出られるぞ!」
「本当ね、よかったわ。」
私は、歓迎されていた。それと、大会に出られるということは、今まで人数が足りていなかったということだろうか。
「ねぇ、星野さん」
「うん?どうしたの?」
「今まで9人いなかったの。」
「そう。3年が1人もおらず、2年が5人。1年が私を入れて3人だったから」
「そうなんだ。女子野球って人気なスポーツのはずなんだけどこの学校では、人気がないの」
「ない。それに野球やるなら他のところに行くし、この学校は、バレーとテニスが強いところだから、野球目当てに入ってくる人はいない。」
「そ、そうなんだ。」
「北条さんのおかげで大会に出られる。」
「入るの確定なのね。まぁいいけど。野球やったことないよ。」
「北条さんなら大丈夫だよ。どうにかなる。」
「えー、どうにかなるって「おいおい、私たちも北条さんと喋りたいぞ」わああ!」
いきなり、後ろから声もかけられ、驚いて後ろを見ると、野球部面々がいた。それに、私の名前まで知られていることに、びっくりした。
「なんで、私の名前を知っているんですか。」
「それは、新入生代表だっただろう。それに、すごい綺麗な子だったから、一年だけでなく2年や3年の間でも、噂されていたぞ。」
「そ、そんな噂が」
「まぁとりあえず、自己紹介でもするか!まずわたしから、私は、2年でキャプテンの奥原晶という。ポジションは、サードだ。よろしく!」
「私は、2年で副キャプテンの三浦由香といいます。ポジションは、センターです。よろしくね、北条さん。」
「私は、2年の伊藤美久だよー。ポジションは、ピッチャー。よろしくー。」
「本田小夜。2年。ファースト。」
「2年の湯川真里です。ポジションは、レフトです。よろしく。」
「俺は、1年の遠藤陽だ。ポジションは、ライト。同級生だからよろしくな。」
「僕も1年の香川大和といいます。ポジションは、キャッチャー。一応、一年の野球部は、みんなA組だからよろしくね。」
「最後は、私。星野雪菜。ポジションは、ショート。」
野球部の自己紹介が終わった。一年全員が同じクラスなことに驚いた。自分も、自己紹介した方がいいと思い、自己紹介をした
「私は、北条凛と言います。野球はやったことはないですが、テレビなので見たことがあるので、知識は、あると思います。よろしくお願いします。」
「よし!それでは、北条さんがどこまでできるか試してみようか。」
「え!今からですか。」
「あぁ。大会もどんどん近づいてくる。できる限りやっていこう。とりあえず、キャッチボールをしてみようか。星野、付き合ってあげて。」
「はい」
どんどん話が進み、私は、星野さんとキャッチボールをすることになった。前世では、学校の授業でやったことがあるが、それだけだ。この体でどこまでできるかは、わからない。
「いくよ。北条さん」
「うん」
星野さんからボールが投げられた。ゆっくり投げられたボールをしっかりキャッチすることができた。
(意外といけるかもしれない。ボールへの恐怖感もないし、テニスのボールよりも遅い。)
次は、私が星野さんに向かって投げた。しっかりと星野さんの胸元にいった。それに満足していると。星野さんが離れ始めた。
「どうしたの?」
「北条さんなら、きっと届くから。それに強いボールを投げても大丈夫そうだし。」
「えっ、強く投げるの!」
「大丈夫、取れるよ。ボールをしっかりと見てね。」
すると、星野さんから早いボールが投げられた。
私は、一瞬驚くもボールをしっかりと見てキャッチすることができた。
取ったことにホッとしていると、
「星野、よくやったぞ。いい人材を連れてきた。これで、今年は無理かもしれないが来年全国を狙えるかもしれない」
キャプテンの奥原先輩が喜び出した。しかも、その話した内容に全国という言葉あった。
「全国ですか?」
「あぁ、誰だって出たいと思うだろう。」
「そうですけど、初心者がいるチームが勝てるのでしょか。」
「大丈夫だ、君は、上手くなる!私がそう感じたから大丈夫だ!」
「えー、感じたって」
「よし!これから練習だ。みんな!大会も近いてくる。一日も無駄にしないようにするぞ。」
「「「「「はい」」」」」
(これから、大変そうだな)
家に帰り、おじいちゃんたちに、野球部に入ることを伝えると、凛もかと、懐かしそうにしていた。
「どうしたの?」
「紗季も、昔、野球をしていてね。凛も野球をすることを聞いて懐かしくなったんだよ。」
お母さんもしていたことに驚くも、知らなかったお母さんのことを知れて嬉しく思った。
野球部に入り、一か月がたった。
「セカンド!」
「はい!」
私は、かなり上手になったと思う。ボールへの恐怖感がないためか、ゴロなどに慣れていったら自然に取れるようになっていった。守備に関しては、キャプテンである奥原先輩から褒められることが多い。だが、打撃に関しては、全くダメである。ボールには、当たる。しかし、弱い打球のゴロしか打てない。これに関して相談したが、始めたばかりでボールに当てられることでもすごいと、まだまだこれからだと、言われた。
「はあー」
他の人みたいに強い打球が打ちたいなと思うが、できず、落ち込んでいると、
「北条さん。どうしたの?」
「星野さん、いえ、みなさんみたいに打てないなと思っていただけです。」
「そう。北条さんは、早い段階でいろいろ求めすぎてるよ。」
「そうですか?」
「うん。まだ、初めて一か月。それでも、守備は、経験者と変わらないぐらい上手くなった。それで充分。」
「充分ですか。でも打撃もできた方が。」
「野球は、みんなでやるスポーツ。北条さんができないことは、他の誰かがカバーしてくれる。北条は、できることで他の人をカバーしたらいい。」
「カバーですか。」
「うん。例えば、ライトを守ってる陽は、はっきり言って守備は、下手。北条さんよりも確実に下手。その分打撃に関しては、すごいものを持ってる。北条さんの分は、陽が打ってくれる。守備は、北条さんがカバーしてらいい。」
「そうですね。そう考えると気持ちが楽になりました。ありがとうございます。星野さん。」
「うん、よかった。それと、私のこと雪菜と呼んで。これからは、チームメイトなんだから。他の一年の2人も下の名前で呼んであげなよ。喜ぶよ。」
「ありがとう、雪菜。私のことも下の名前で呼んで。」
「うん、よろしくね。凛」
時が経ち、夏の大会が近づいてくる中、私たち野球部の一年は、期末試験の勉強をしていた。
「あーくそ!大会がもうすぐなのに、なんで勉強しないといけないんだー」
「うるさい、陽。集中できない。」
「あー。なんだよ。雪菜、お前もそう思ってるだろ。」
「赤点を取ったら、試合出れないかもしれない。他の人に迷惑をかける。それでもいいの。」
「わかったよ。やるよ」
中間テストで赤点に近い点数をとってしまった。2人。東浜先生が2人を心配したため、私に勉強を見てくれないかとお願いしてきたため、勉強会を開いた。大和は、1人は、寂しいといい、参加した。
「いやー、凛ちゃんの教え方は、うまいね。1人でやるよりはかどるよ。」
「ならよかったよ。大和は、いつもテストどのくらいなの?」
「僕?僕は、全部70点ぐらいだよ。得意も苦手もない感じだよ。でも今回は、凛ちゃんが教えてくれたし、80点狙えそうだよ。」
「そう?ならよかった。雪菜と陽は、どんな感じ。」
「私は、60点を目指す。」
「俺は、50点かな」
「そうか、頑張ってね」
今日の勉強会を終わり、明日からのテストに備えて、帰宅した。
テストが終わり、テスト返却の日。
「よしゃー」
「どうだた?」
「見てくれ!全部50点超えたぞ。」
「良かったよ。雪菜はどうだった?」
「見て」
「全部60超えてるね。それに80点の科目もある。すごいよ。」
「私は、やればできる子」
「あはは、そうか。大和はどうだった?」
「僕も、目標達成。全部80点変えたよ。90点も何個かあって良かった。凛ちゃんは?」
「私?私は、いつも通りだよ」
「おー、さすが、凛ちゃん。百点のテストしか見ないね。どういう勉強してるの?」
「予習と復習をしっかりすれば、点は、あがるよ。」
雪菜と陽の赤点回避もでき、次は、大会に集中だね。