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ある部屋の前に着くと、守さんがノックをし、部屋の中に私を連れて入った。
そこには、大きなソファーがテーブルを囲むようにあり、そこには、高齢の男性と女性、守さんと同じくらいの年齢の方が男性が1人女性が2人、高校生ぐらいの男性が2人、ソファーに座っていた。
「お父さん、連れてまいりました。紗季の娘の凛君です。」
「はじめまして。北条凛と申します。」
「あらら、礼儀正しい子ね。私は、あなたの祖母の文代というの。孫娘ができて嬉しいわ」
「守兄さんの言う通り、綺麗な子だな。俺は、悟という。君の叔父になる。」
「二階堂悟。あの、大臣の?」
「お、よく知ってるな。最近の若いのは、大臣をわからない奴も多いのに。よく勉強しているな。」
「私は、悟の妻の瑠璃という。よろしく頼む」
「俺は、息子の翔という。高校2年生だ。お兄ちゃんと呼んでいいぞ。」
「私は、守の妻の百合子といいます。困ったことがあったら、相談してね。」
「僕は、息子の息吹といいます。高校3年生だよ。可愛い妹ができて嬉しいよ」
「.......................................「あなた、自己紹介しなさい」う、うむ。私は、二階堂勝という。」
「あなた、それだけなの。凛ちゃん以上に緊張してるじゃない。まだ気にしているの?」
「私が紗季の父を名乗っていいのか。娘を無理やり結婚させようとしたんだぞ。」
「まったく。せっかく、凛ちゃんが来てくれたのに雰囲気を暗くしないでください。紗季の手紙には、ちゃんとお父さんと書かれていましたよ。紗季は、あなたを父だと思っていたのですよ。」
「そうだが」
と、祖父が祖母に怒られていると、私の横にいた、守さんから、
「凛君。お父さんのことおじいちゃんと呼んでくれないか。」
「なんでですか?」
「お父さんは、孫娘を欲しがっていたから呼ばれたら嬉しがると思うから。」
「わかりました」
と、お願いされたので、祖父の方に向いて、
「あ、あの!」
「ど、どうした?」
「おじいちゃんと呼んでもいいでしょうか。」
「お、おじいちゃん!そ、そ、そうだな」
「だ、ダメでしょか?」
「いいぞ!おじいちゃんと呼んでくれ!」
「はい、ありがとうございます。」
「良かったですね。あなた。孫娘におじいちゃんと呼ばれて」
「あぁ!紗季の文までも凛を幸せにするぞ!」
「その、意気ですよ。そろそろ、食事の時間ですね。お話は、食事の時にでもしましょうか。」
私は、おじいちゃんたちと、食事をしながら、お母さんの話したりして盛り上がった。食事を終わった後、おばあちゃん、瑠璃さん、百合子さんと一緒にお風呂に入っていろいろとお話しをした。その中に、瑠璃さんが、軍人だった話を聞いて驚いた。護身術など知りたかったら、聞きに来なさいといわれたので、中学生になったら習いたいと思った。お風呂から上がり、メイドの高橋さんに部屋に案内された。
「こちらが凛様のお部屋になります。」
「うわー、すごい広い。ベットが大きい。」
部屋の中に入り、全体を見渡した。前まで、住んでいたアパートの部屋の何倍もの広さがあり、ここが1人の部屋なのかと驚いていると、
「このお部屋は、昔、紗季様のお部屋でした。」
「そうなんですか?」
「はい、凛様が来られるということでこちらの部屋がよろしいかと思い、用意いたしました。」
「そうなんですね。ありがとうございます、高橋さん。嬉しいです。」
「喜んでいただき嬉しく思います。そろそろ時間も、遅くなっておりますので、おやすみください。」
「はい、そうします。今日は、ありがとうございました。」
「はい。それでは、また明日の朝まで、ゆっくりお休みください。」
高橋さんが部屋から、出ていった。私は、ベットの上に転がると、少しだけ、お母さんの匂いがした。その匂いに安心したのか、すぐに眠ることができた。
時が過ぎ、私は、中学の入学式を迎えた。お母さんが亡くなってから、いろんなことがあり、大変だったが、守さんたちが協力してくれて、乗り越えることができた。今日の入学式の準備をしていると、部屋に高橋さんが入ってきた。
「凛様、準備はできたでしょうか」
「できたよ。」
「それでしたら、参りましょう。旦那様たちがお待ちです。」
高橋さんと一緒におじいちゃんたち学校いる。部屋に向かった。部屋に着くと、ノックをし、部屋に入った。そこには、息吹さん以外のみんなが揃っていた。私の、制服姿を見て、おばあちゃんと百合子さんが、はしゃぎだした。
「やっぱり似合っているわ。凛ちゃん。今日の入学式楽しみにしているわ。」
「そうですね。凛ちゃんの落ち着いた雰囲気にあっています。あー、なんで息吹の入学式と重なるんでしょうか。私も行きたかったです。」
息吹そんは、大学生になりこの家から出て、一人暮らしを始めた。二階堂家では、大学生の間は、1人暮らしをするそうだ。私も、いずれするのだろう。と、考えていると、守さんに声をかけられた。
「凛君。入学おめでとう。それに、入試で一位になって、今日代表挨拶するなんてすごいね。」
「ありがとうございます。息吹さんが勉強見てくれたおかげです。」
「あはは。息吹からは、教えることがなかったと、聞いているよ。紗季は、頭があまり良くなかったから、凛君は、お父さんである、修一君に似たのかな。」
「守、そろそろ時間だ。息吹の入学式に間に合わなくなるぞ。」
「そうですね。それでは、行ってまいります。」
守さんと百合子さんは、息吹さんの入学式に出かけていった。守さんたちが出ていった後に、悟さんが近づいて来て、
「入学おめでとう。俺は、仕事があっていくことは、できない。ただ、瑠璃は、父さんたちと行くからな。では、行ってくる。翔も早く学校に行くんだぞ。」
と、言い、部屋から出て行った。
「わかってるよ。まったく、なんで俺は、もう学校の授業があるんだ。くそ」
翔さんの学校は、入学式が終わり、授業があるそうだ。
「凛」
「どうしたんですか。」
「元気がでない。出すためにお兄ちゃんと言ってくれないか。」
「.......頑張って、翔お兄ちゃん。」
「おおお、お兄ちゃん頑張るぞ。よし、行ってくる。」
元気に部屋から出て行った。お兄ちゃんと言っただけでなんであんなに元気になるのだろうか。
「和成がすまないね、凛ちゃん。」
「瑠璃さん。いえ、あのぐらい大丈夫ですよ。」
「和成は、妹を欲しがっていたからね。凛ちゃんが来て、嬉しいんだよ。これからも呼んであげてほしい。」
「はい。私も兄ができて嬉しいのでいいですよ。」
「そうか、ならよかった。では、そろそろ学校に行こうか。お義父さん、お義母さん。準備は、できたでしょか。」
「できているわ。カメラの準備もOKよ。」
「凛の晴れ舞台だ。しっかりと記録しておかなくてわ。」
「では、まいりましょう。」
車に乗り込み、学校へと、出発した。
「新入生代表、1年A組。北条凛さん」
「はい。」
入学式が終わり、教室に向かい、クラスでの活動が始まった。まず、先生からの自己紹介から始まった。
「私の名前は、東浜ミチルといいます。年齢は、26歳で、クラスの担任になるのは、このクラスが初めてです。担当の教科は、歴史。野球部の顧問をしています。一年間お願いします。」
先生の自己紹介が終わると、生徒の自己紹介が始まった。他の生徒の自己紹介を聞いていると、私の番になった。
「私の名前は、北条凛といいます。好きな食べ物は、パフェで、趣味は、読書をすることです。こちらの方に引越して来てまだ時間も短いので、いろいろ教えてもらえると嬉しいです。一年間、よろしくお願いします。」
クラス全体の自己紹介も終わり、これからの予定を先生が説明しだした。
「今日のところは、これで終わりですが、明日からは、忙しくなります。まず、明日は、学力テストを行います。その、次の日には、体力テストもあります。その2つが終わりましたら、授業が開始し、部活を見て回ることができるようになります。皆さんご存知だと思いますが、この学校では、生徒、全員部活に入ることになっています。よく考えて部活を選んでください。」
(全員!知らなかった。どの部活にしたらいいのかな。)
次の日、学力テストが行われた。まだ、中学生が習っていないところも出ていたが、私は、解くことができた。予習をしているか確認するために出したのだろうか。
また、次の日、体力テストが行われた。このテストは、2人1組になって、テストを受けていく。私のペアは、星野雪菜さんで私の後ろの席の子だ。この子は、たしか、自己紹介の時に野球部に入ると言っており、運動神経がいいのか、ほとんどの種目で高得点を出していた。
「すごいね、星野さん」
「なにが?」
「高得点をたくさん出しているから」
「それなら、北条さんもすごい。私が、走ることで負けたのは、初めて。」
「へー、そうなんだ。やっぱりバスケットしてるから走るの得意なの?」
「そう。バスケットは、体力が必要。北条さんもバスケットボール部に入らない?」
「うーん。まだ、何の部活に入るか悩んでいるから、いろんな部活を見た後でもいい?」
「わかった、待ってる。」
体力テストも終わり、明日からは、授業が始まる。