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ほんとうは…。  作者: 朝日奈 美衣
4/5

第二章

~第2章~



第十四話


~サプライズ(?)~


梓が六人のセンパイをぶっ飛ばした日の2日後。

学校が終わった後、私は作戦(?)通り梓の家に突撃した☆←


ピーンポーンピーンポーン・・・



梓『はい。どなたですか??』

怪訝そうな梓の声に、私は元気に答える。

「梓!結菜だよ(笑)・・・会いたくて、来ちゃった(照)」

遊ぶために『MagicDragons』(マジックドラゴンズ)という人気急上昇中のゲーム(三日前発売)を持ってきた私は、

ガチャッという音とともに驚いた顔をした梓が出てきた。

私の姿を見て、なぜか息をのみ、少し瞼を伏せて頬を染めた。

・・・??

「どしたん梓」

つい本音で短く突っ込んでしまった(笑)

梓「いや・・・私服の結菜ってすっごい可愛いし・・”会いたくて”とか言われてなんか・・・・幸せ(?)だな・・って///」

・・・!///

「か・・・可愛くない///」 

梓「・・可愛いよ、結菜//」

・・・!!///

「可愛くない!// とりあえず中入ろう?・・・入っていーい??」

会ってそうそうこんなに照れる羽目になるとは・・・。

梓「お、おう。あがって、二階の一番奥の部屋」

二階建てか~。私と一緒やな!

こんな些細なことで少し嬉しくなってしまう私は頭がおかしいのかもしれない・・・(笑)

「うん!」

元気に返事をして、玄関で靴を脱ぎ、階段を登った。

梓が部屋のドアを開けてくれた。

中に入ると、殺風景な部屋と、その中心に置いてあったソファに座っていた蓮人君の姿が視界に入った。

蓮「おー梓。誰だった・・・って、結菜ちゃん!?」 

「蓮人君!おひさやね~」

ほんとに久しぶりだぁ・・・。

梓「結菜、手に持ってるそれなーに??」 

「あー。『MagicDragons』!昨日始めたんだ~」

梓ってゲームうまいらしいし教えてもらおうと思って・・・とは言えない←

梓・蓮「「え!!!!??」」

???

蓮「あー。えっとね、俺も同じの持ってきたんだ・・・」

えー!!!??

まさかの!!(笑)

と、とりあえず座ろう←

こうして私のサプライズ(?)計画は思わぬ方向へと転がっていったのだった(笑)




第十五話


~サプライズ(?)Part2  蓮人side ~


あの元気な梓が学校を欠席した。

金曜日もいつも通り学校に来ていたから、ほんとに驚いた。

放課後に先生に聞きに行ってみると、 

先「橘君は春川君の親友だから特別に教えるけど・・・」

と事情を説明してくれた。

どうやら、学校側の配慮で『一週間、家の事情でお休み』という形にしてくれたようだった。

にしても、結菜ちゃんも美乃里ちゃんもその場に居合わせたのか・・。

いやだからといって何かがあるわけでもないけど。

まぁ、そういうことなら梓は暇してるんだろうな。

遊びに行ってやるか!(何様←)



・・・移動中・・・



到着っと。俺は、三日前に発売した『MagicDragons』を持って梓の家にきた。


ピーンポーンピーンポーン・・・


梓『はい。どちら様ですか?』

暇でつまんなくて仕方ないというような様子の梓の声を聞き、俺は

「梓?ゲームやろーぜ!」

梓の声のテンションより二倍くらい高い声で告げる。

少し驚いたような顔をした梓は、俺が胸の前あたりに持ち上げて見せた『MagicDragons』を見て、目をきらきらと輝かせた。

あぁ・・・俺もこのゲームを買った時は同じような目をしていたんだろうな。←

・・・とかしみじみと思いながらも梓とゲームをすることを楽しみにしていた自分もいた。

そしてゲームを始めて十数分後。


ピーンポーンピーンポーン・・・


再びチャイムが鳴った。(一回目は俺がならしたんだけど)

「梓~誰か来た~」 

梓『はい。どなたですか??』 

応答をした梓は相手が何か言ったのか凄く驚いた顔をして、その後は満面の笑みで部屋を飛び出していった。

・・・なんなんだアイツ・・・・。

誰が来たんだろう・・・?

(ガチャッ)

「おー梓。誰だった・・・って結菜ちゃん!?」

お久しぶり~と気軽に挨拶をしてきた結菜ちゃんは、前にも増して可愛くなった気がする。

そうして結菜ちゃん含めた三人で、再びゲームをすることになった。

まぁ・・・まさか結菜ちゃんも同じゲームを持ってくるとは思わなかったんだけど(笑)

とりあえずゲーム始めよう!

結「え!?もうこんなに進んでんの!??蓮人君スゴッッ!え、ね~ここってどうやんの?」 

「あ~そこは」

・・・可愛いな。

「結菜ちゃん、できた??」 

結「うん!ありがと、蓮人君!(ニコッ)」

ごく普通に楽しく会話できるのが、こんなに幸せなことだと思わなかった。

久しぶりだから尚更。

すると突然・・・

梓「結菜~・・(ぎゅ)」

・・・梓が結菜ちゃんのことを後ろから抱き寄せた。

え・・・?

もしかして、梓と結菜ちゃんって・・・。

(ズキン・・・)

まるでナイフで貫かれたように心が痛い。


__梓『マジ!?やった!!』  『マジマジ!頑張れよ、梓』__


俺には、好きでいる資格も、傷つく資格もないのに_。

結「梓?どーしたん??」 

梓「・・・わかってないのかよ。・・妬いた//」

"結菜” ”梓” カレカノなんだから呼び捨てなんて当たり前_なのに、なんでこんなに心が痛い?

「二人の邪魔しちゃいけないからもう帰るわ~」

俺は驚く二人の声を背中で聞きながら、後ろ手でドアを閉めて梓の家を後にした。

(俺は、また逃げてしまった)

軽く自分に失望しながらとぼとぼと家への帰り道をたどったのだった。





第十六話


~翌日。~


今日は火曜日。

今日も梓の家に行こう!!と思いながら帰り道を歩いていた。

そして、昨日蓮人君が急に

蓮『二人の邪魔しちゃいけないからもう帰るわ~』

といって帰ってしまったことを思い出す。

あのとき、梓には見えてなかったと思うが、私には角度的にとてもよく見えてしまった。

_なんであんなに苦しげな表情で切なそうな瞳を揺らしていたの・・・?

あの真っ黒な瞳があんなに揺らいでるのも、あの明るく楽しげな表情が苦しんでいるのも初めて見た。

そのちょっと前まで、楽しく会話できていたと思うんだけどなぁ・・。

その間にあったことと言えば、梓に抱きしめられて少しいちゃついた・・・くらいだよね。

でも、いちゃついたからってあんな苦しげにはならないよ~。

蓮人君が私のこと好きじゃない限り(笑)

そんなこと天地がひっくり返ってもあり得ないし、違うだろうな。

じゃあほんとにどうしたんだろう・・・?

まぁわかんないものはわかんないよね。

うん。

一人、腑に落ちないな~と考えながら歩いていたら、いつの間にか家にたっていたのだった。




梓side



蓮人・・・。

やっぱり、俺が牽制して(真っ向からあきらめろっていってるよんなもんだったけど)協力してもらっているとはいえ・・・。

さすがにあきらめてない_いや、”あきらめられない”か。

そういえば、あいつと連んできて結構ながいけど、あんなに苦しげな表情は初めてみたな・・・。

あ~あ。

思ったよりも結菜にマジってわけね。

悪いことしちゃったな、うん。

まぁ、だからといって結菜を蓮人に譲ってやる気なんて微塵もないけどw

思考をそこでふと止めた俺は、ひもを引っ張って常夜灯にし。

結菜が遊びに来てくれたことを考えて口の端が少し緩むのを感じながら、ベットに潜り込んだのだった。




第十七話


~学校にて。~


やっぱり一昨日の蓮人君の様子が気になり続けていた私は、蓮人君のクラスにいってみることにした。

・・・一人で他のクラスに一人で入るのが怖いっていったら美乃里がついてきてくれたからふたりで。


ガラガラ


「あの、蓮人君いる??」 

私が近くにいる人に声をかけたら、

美「蓮人くーん!!おいでー!!!」

・・・後ろで美乃里が驚くほど大きい声で声をかけてくれました、はい。

蓮「どうしたの?結菜ちゃん、美乃里ちゃん」

どうやって切り出せば・・・??

美「どうしたの?お☆ち☆び☆ち☆ゃ☆ん?」 

「いつ処刑されたい?←」 

何で美乃里はこう急に・・・。

美「はーい、その処刑される人に蓮人君を推薦しまーす☆←」 

「採用☆」 

蓮「なにゆえ!?」

・・・。

意気込んできたのが茶番でちょっと(いやだいぶ)崩されたのがわかった。

ん?

もしかして美乃里、このためにわざとこんな茶番を?

もしやと思って美乃里に視線を走らせると、ふふん、とでも効果音がつきそうなどや顔でウインクをしてきた。

美乃里・・・!

口パクで『購買のパン一個おごり♪』ってしてこなければマジ感謝したのに・・・←

「あのね、蓮人君さ、梓の家に行ったとき帰りがけになんか辛そうな顔してたじゃん?

                       それが気になっちゃって・・・。どうしたの?」

よし、聞きたかったことは聞けた。

これで返事を聞いて帰るだけ・・・って、あれ?

何で蓮人君、目を見開いて・・・?

蓮「見えてたんだ・・・(ボソッ)あぁ、うん。なんでもないよ、ちょっと辛かったことを不意に思い出して、

                                       さ。気にしないで?」

困ったような顔をした梓君に、これ以上聞かれたくないっていうように顔を背けられてしまった。

絶対違う・・・。

でも、これ以上蓮人君を困らせるわけにはいかないもんね。

「そっか!変なこと聞いてごめんね~・・・。」 

蓮「ううん。あ、予鈴なりそうだよ?」

その後、軽く挨拶をした蓮人君は、教室の奧に引っ込んでしまった。


 

・・・移動中・・・



その日の授業が終わり、久しぶりに美乃里と帰り道を歩いていたときのこと。

ふと美乃里が、

美「今日の蓮人君、絶対なんかごまかしてたよね」

なんていってきた。

・・・。

ちなみに購買のパンはしっかりおごらされました、はい。

・・・話がズレた。

「うん・・・大丈夫かなぁ・・・」 

美「まぁ『気にしないで?』っていってたし、結菜」

そこで一回言葉を切った美乃里が急に後ろにまわり・・・

美「気にすんな☆」

・・・思いっきり背中を叩かれた。

「うん」

短く返事をした私は、改めて美乃里がいてくれたことに感謝しながら家に帰った。

     




第十八話


~転校生!?~


その次の日。

私はいつも通り学校に来た。

今日は梓の謹慎も解けてバンザイ!(は?)

そして、いつも通りのHomeroom・・・じゃない!?

先「今日は転校生を紹介するよ。入ってきて」

ガラガラという教室のドアの音と共に中に入ってきたのは・・・。

梓と蓮人君と同じかそれ以上といっても過言ではないようなイケメンが入ってきた。

先「綾瀬 遊莉くん。みんな仲良くしてあげてね。じゃあ・・・綾瀬君の席は、桜庭さんの隣ね!今日の

  Homeroomは終わり。お疲れ様でした」

えええええええええ!!!?

ちょっと待ってねえ!

Teacher!!?

隣に歩いてきた綾瀬君。

その綾瀬君が急に目を見開き・・・

遊「結ちゃん!!(ぎゅう)」

抱きついてきた!!?

ええええええええええええええ!!!!!??

「えーっと、どなた様?突然抱きつかれるくらいの仲いい人だっけ??」

当然の疑問をおしつける。

するとカレは、

遊「俺だけだよ?結菜のこと、”結ちゃん”って呼ぶのは」

と涼しい顔で言い返してきた。

結ちゃん。

確かにその呼び名には聞き覚えがあった。

えーっと、たしかだいぶ前。

私が三歳くらいだった頃・・?


『結ちゃん!』


あ!!

もしかして・・・・。

「遊、くん・・・?」 

遊「そう!!結ちゃん、久しぶり!!!(ぎゅ~~!!)」

遊くん。

彼は、私の従兄弟だ。

あまり、っていうかこの十三年間一度も顔を合わせてないから気づかなかった。

「遊くん!(ぎゅ~!!)」


キーンコーンカーンコーン・・・。


あ。

私達は久しぶりに会えた喜びを胸に、その日の授業をおえた。

帰りの学活が終わった後。私達はまたハグをしていた。

すると入り口からガタッという音が聞こえ・・・梓!!?

「梓!!」 

梓「なに・・してんの?」

低く押し殺したような声で静かに問いかけてきた。

これ・・浮気みたいに見え・・・!!?

殺伐とした雰囲気の中、のほほんとあくびをした人物約一名。

遊莉君、だった。

遊「あ~結ちゃんの彼氏?あんしんしていいよ~そんな関係じゃないから。じゃあまたね~」 

「あ、うんまたね、遊くん」

・・・・。

「・・・・・」 

梓「・・・・・」

私達はしばらく無言だった。だけど、それもすぐに壊されて・・・。

梓「いまの、だれ?」

梓に聞かれて、私は

「今日転校してきた綾瀬 遊莉くん!私の大切な人だよ!まさかの再会で私も驚いてさ」

と答える。

梓はわずかに驚いたような様子を見せて、

梓「そっか・・・」

とつぶやいた(のが聞こえた)。

梓「なんかごめんね、変な雰囲気にしちゃって」

わざわざ謝んなくてもいいのに。

「うん・・・?」

梓、なんか今日変・・・?

梓「帰ろ・・・っか」 

「うん!」

梓は家に送ってくれたけど。

何もしゃべらず、何かを考えているようにずっとうつむいていた。





第十九話


~大切な人~       梓side


”大切な人”。

たしかに結菜はそういった。

ねぇ、結菜。

その”大切”って、どういう意味??

俺にとって、大好きで、なによりも”大切”なのは結菜だけだよ。

でも、結菜は”遊莉君”も大切なんだね。

それ、俺と付き合ってる意味なくない?

・・・わかっていた。

結菜が、俺のことを好きでいてくれること。

”遊莉君”が幼い頃から大切な人だってこと。

それ以外に何の他意もなく、そのまま大切な人って言ったことも。

でも、でも。

彼女が、他のヤツとハグをしているのは・・・。

どんなにいい男でも。

・・・妬くだろ。

やっぱり、俺の方が結菜に片思いしているみたいだ。きっと、おもいあっているのを比にしたら、

俺 9:1 結菜  って感じで、一方的なんだろうな。

そう考えたら、かなしくなってきた。

・・・ごめん。

そう結菜に伝えた。

多分、変な雰囲気にして、という後から付け足した言い訳を信じているんだろうけど。

俺からしたら、つまらない嫉妬してごめん。そうずっと思っていたのが言葉になって零れてしまっただけだったのだ。

あーあ。

俺って、器狭いなぁ。

こんな俺が、結菜の彼氏でいいのかな。

蓮人とか、”遊莉君”のほうがよっぽどふさわしいんじゃないのか。

そんなことを考えて、どんどんかなしくなってきているのを感じながら、結菜を家に送った後『バイバイ』も言わずに(自分の)家へと引き返した。





第二十話


~不安~


翌日。

いつもだったら校門をくぐるあたりで元気に声をかけてくれる梓の姿を、今日は見かけなかった。

・・・そうだよね、いつも声をかけてくれていたけど、声をかけなくちゃいけない理由なんてないんだもの。

めんどくさくなっちゃったのかな?

だって、昨日、なんか変だったし。

・・・・・。

もう、私のことなんて嫌になっちゃったのかな?

だから様子がおかしかったのかな?

ジワッ

なぜか涙が滲んでくる。

美「どうしたの!?」

美乃里・・・。

「あのね・・・」

 

・・・説明中・・・


美「結菜・・・えっとね、言っちゃえば、被害妄想MAX過ぎて草はえるwwって感じなんだけど」

!?

えっ美乃里ひどっ←

美「いやそんな顔されても・・・。じゃあ、梓君の状況に自分がなってみたところを想像してみれば?


もし、梓君のクラスにいったらめちゃめちゃ美人な人と抱き合ってて、

声をかけたら、その美人にあんしんしていいよって馬鹿にされたように声かけられて。

で、二人の関係を聞いたら、梓君の”大切な人”だよって返される・・・。


さぁ、結菜はどう思う?」

・・・・!!?

すっごいヤキモチ焼いてツラくなって自己嫌悪する!

え!?

梓こんなこと思ってたの!?

・・・でも確かに、あのときの梓の声は恐ろしいくらい低かった・・。

そんな!?

慌てて梓のクラスに行き、梓を屋上に続く階段の踊り場に連れて行く。

梓「結菜!?どうしたの・・・?」

心配そうに声をかけてくれる。

「梓・・・もしかして、昨日からずっと、不安だったりする・・・?」

・・・。

梓「え・・・!?それって、どーいう?」 

「あの、だから、もしかしたら遊君とのことで不安になってたりしないかって!」

黙ってから梓は目を見開いて顔を赤く染め、少しこくん。とうなずいた。

やっぱり・・・。

「あのねっ・・・遊君は、従兄弟なの!!」

・・・梓は見開いためをさらにひらいてフリーズした。

梓「・・・・え?・・」 

「フフッ・・アハハハッwww」

その様子がなんだかおかしくて、思わず吹き出してしまったw

さっきまであんなに心配して勢い込んできたのにw

梓「・・・そんなに笑うなよ・・」 

「ハハッ・・ご、っごめww」

謝りはするものの、まだ笑い続ける私を見て、梓は少し拗ねたように見えた。

梓「・・・。(ぎゅっ)」

!!?

梓「よかった・・。大切な人って言うから、初恋の人とかだと思った」

・・・?(混乱中←)

・・・。(戸惑い中←)

!!?(理解←)

初恋の人!?(驚く観点が違う気がしないでもない←)

「私の初恋は梓だよ!?」 

梓「・・・え?」

・・・あ。

はずっ←

きゅっと梓を抱きしめ返しながら服の後ろみごろを握りしめる。

「梓、好きだよ」

すると、・・・黙ってから梓は目を見開いて顔を赤く染め、少しこくん。とうなずいた←

可愛いな←

そうしてぎくしゃく(?)してた私達は、一日もたたないうちに仲直り(?)をした。





第二十一話


~浮気現場発覚!?~


翌日。

私は普通に梓と一緒に帰ろうと思って、校門の前でまっていた。

昇降口から出てくる梓の姿を見つける。

「あ!梓ー・・・」

声をかけようとしたとき。

・・・梓の隣に、謎の美少女がいた。

え?

その光景が信じられなくて、思わずガン見してしまう。

ただ、隣を歩いているわけではなく、腕を絡めて手を繋いで、楽しそうに歩いていたんだ。

その二人は、どこからどう見てもお似合いで。

文句のつけようもないくらい幸せそうで。

視界が暗転した。

軽く絶望した。

ああ・・・私じゃ、ダメだったのかな。

昨日、抱きしめ合ったのが嘘のようだ。

階段ではあんなに近かった距離が、今はこんなにも遠い。

なんで・・・。

私は二人に見つかりたくなくて、家までの道を駆け出した。

走っている途中で、頬に暖かい感触があった。

・・・気がついたら、涙を流していたのだ。

私は途中にあったバス停で立ち止まった。

すると、目の前にいた男子生徒が・・・。

?「結菜ちゃん!!?どうしたの!?何かあった・・・?」

と優しく声をかけてくれた。

だれ・・・?

涙で視界がゆがんで、誰だかわからない。

「誰・・・?」

やっとのことでそう声を出す。

するとその人は、首に巻いていたマフラーを私に巻き直しながら、

?「俺?橘 蓮人だよ。どうしたの、梓と何かあった?」

と答えてくれた。

蓮人君・・・。

私は、あふれだす想いを抑えきれずに、蓮人君にさっき見たこと、それを見て思ったことを話し出してしまった。



・・・説明中・・・             蓮人side



結「私じゃ・・ダメだったのかなぁって・・・思って」

そう言った後再び泣き出してしまった彼女。

俺は、すごく腹が立った。

なんで、・・・あのとき、俺は梓達を祝福したのに。

諦めようと、頑張っているのに。

思わず、結菜ちゃんの頬に手を伸ばし、涙をぬぐう。

「ねえ、結菜って呼んでいい?」

彼女は、コクン。と頷いた。

・・・・。

伝えたい。

「ねえ、結菜。俺はね、結菜のことが好きだよ」

彼女が息をのむのがわかった。

結菜。

俺はね、一回君のことを諦めようとしたんだよ。

でも。

言い方が悪いかもしれないけど、梓が君を裏切ったなら。

俺が、結菜を支える。

伝えたいことが山ほどある。

結「蓮人って、私も呼んでいい?」

結菜がふと口に出したのはそんな一言。

俺は笑顔で頷いた。

結「蓮人・・・!ごめんね、気づかなくて」

俺が好きだったなら、今まで何度も傷つけたよね、と謝ってくれる結菜。

「そんなこと、結菜が気にしなくていいんだよ。それよりも、梓・・・」

結「あのねっ・・・私、梓とは別れる。私がいたら邪魔だろうし。でも、ツライ・・・から、相談しちゃうかも・・」

俺を遮って、とんでもないことを言い出した結菜。

言いながら、ツラそうに顔を歪める姿を見ていられなくなって、俺は結菜を抱きしめる。

「何度でも相談して。ツラいときは、いつでも言ってね・・・」

結菜は、驚いたようだったけど、すぐにこくんと頷いた。





第二十二話


~脅し~      梓side


今日も放課後、結菜と一緒に帰る約束をしていたため、急いで帰りの支度をしているときだった。

?「ねえ、梓君」

不意に話しかけてきたのは、クラスの中で一番可愛いと言われているらしい女子、今野 千晶だった。

セミロングの黒髪をなびかせ、凄い自信を持った顔で不敵に笑う今野さん。

「なに、今野さん。俺になんか用?できれば明日にしてほしいんだけど」

いかにも急いでますって顔をしながら返答する。

千「ねえ、梓君。今日一緒に帰ろ?」

明日にしてほしいって言う返答をガン無視して今野さんはそう答える。

「ごめんね、大好きな彼女と帰るから」

あえて大好きな彼女の部分を強調させながらそう言い、睨みをきかせる。

すると、今野さんは、口元を緩ませ、

千「じゃあ、その彼女がどうなってもいい?」

・・・は?

すごく呆れて、イライラして、思わず声が低くなる。

「は?どういうことだよ。何する気?」

恐れもせずに平然とニヤつく今野さん。

千「何って、桜庭 結菜ちゃんに危害を加える気だけど?」

は!!?

「なんでそこまで俺と帰りたいんだよ」

当たり前の疑問。

千「そんなの梓君が好きだからだよ!」

嬉しそうに答える今野さん。

今野さんと会話を交わすたびにどんどんイライラが募る。

「・・・今日だけだったら。そのかわり結菜に何かしたら殺すからね??今野さん?」

後半は凄く低い声でニコッと形だけ笑って告げる。

さすがにその迫力に押されたのか、今野さんは頬をひくつかせながら頷いた。

そのまま俺は何も言わずに最悪な帰り道を通った。

結菜に、見られないといいな、ただそれだけを祈りながら。


結菜side


蓮人君にあのまま家まで送ってもらい、さっきの光景を思い出す。

嫌だ・・・嫌だよ、梓・・・・!!

あんなに、楽しかったのに。

あんなに、幸せだったのに。

梓は、違ったの?

梓と過ごした時間のことを瞬時に全て思い出す。

絶望して、私はそのまま眠るように意識を失った。




                                      ~第2章END~



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