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成長さん

作者: 柿原 凛

成長さんから成長しなさいって追いかけられる。

成長しないといけない。

成長さんからそう言われるんだから。

成長さんがぎゅうぎゅう後押ししてくる。


「挑戦しないと何も始まらないよ」

 何も挑戦したくない。私はこのままで十分なのです。

「向上心がないやつは馬鹿だ」

 カメレオンにも、擬態したくないときだってあるのです。

「まず一歩踏み出してみれば、何かが変わるかもしれないよ」

 でもね、そこは崖っぷち。シオマネキが海の中から手招きしてる。


成長さんが背中を押してくる。ものすごい力で後押ししてくる。追い風が吹いて、順風満帆。

彼らの後押しがあまりにも強すぎて、ぷらっとホームからはみ出した。

ちょうどやってきた新幹線の鋭利な鼻にも背中を押され、くの字になった私を、

誰もまともに見てはいなかった。


私の死体は夕方のニュースにもならなかった。

犯人は成長なんです。成長が私を殺したのです。

でも、成長さんは今日もみんなのヒーローで。

もてはやされている裏側で、新しい押しくら饅頭が始まっていた。

プラットホームからはみ出しそうな行列は、枕木の方を向いて続いている。

みんなのヒーロー成長さんは、一番うしろでところてんを押し出していた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 深いですね~。 人にも国(経済)にも成長はありますもんね。 ついて行けないものは、成長さんに見棄てられる。
[一言] 成長さんって残酷ですよね。 でも確かに周囲のみんなにちやほやされてます。 いつか私も成長さんに殺されるのかなと思いつつ、今後も頑張りたいと思います。
[良い点] ちょっと金子みすゞのCMを思い出してしまいました。こだまでしょうか、ってやつ。 良いと思います。 私は詩を読むとき、頭の中で音読してリズムが気に入るかどうか、ってのをけっこう気にしている…
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