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FLAT LINE PROTOCOL  作者: のがみん
第1章 どうしてこうなった
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act.09

 爽太と誠が買い出しに出かけた時は食欲がなかったので何も頼まなかったが、ギターとベースの仮録りを済ませると、和由季は猛烈に腹が空いてきた。

 サンプリングを担当していた諒平に「ちょっと何か食べてくる」と声をかけ、コートをひっかけて外に出る。

 日が暮れてからの冷え込みはきつい――ましてや二月上旬とくれば、寒さはピークである。

 あちゃーマフラー忘れてたわ、なんてことを考えながら歩いていると、突然声をかけられた。


「あの、児嶋さん!」


 聞き覚えのある声に思わず振りかえると、そこに立っていたのは森崎真尋だった。

 あっけにとられていると「突然すみません。お話があるんですが、お時間いただけますか」と、クール美人が思いつめたような顔で畳みかけてきた。


「っあー……俺今、そこのファミレスで何か食べようと思ってたんだけど、食べながらでいいなら」

「あ、そうですね……スタジオで笹山さんから食事に出かけられたって聞いてたのに、申し訳ありません」


 ということは彼女はわざわざ、自分に会う為にスタジオに足を運んだのだろう。

 いったいどういう風の吹きまわしだ、まさかボーカルの話を引き受けてくれるなどということはないだろうけど――なんて、少々邪な期待を抱きながら、空いてきたファミレスの一画に向かい合わせで腰を下ろす。

 和風定食を頼んだ和由季と異なり、真尋はコーヒーだけを注文した。

 時間を考えると、既に夕食を済ませているのだろう。


「で、話ってどうしたの?」


 半分かた定食を平らげてから――それまで真尋が黙っていたのは、和由季が空腹を満たすのを優先してくれたからだ――声をかけると、真尋が改まった顔で頭を下げた。


「あの、先に謝っておきます。今から私が言うことって、本来なら私の立場で口を突っ込むの、ものすごく筋違いなことなので」

「うん、わかった」

「えーと……児嶋さんもしかして、ゲームプロデューサーのの光岡監督が手掛けている『ペインキラー』アニメ版の、キャラソンのお仕事されてませんか?」

「え、よく知ってるね? もしかしてアニメ関係に森崎さんの知り合いいるのかな?」


 守秘義務違反と言えば確かにその通りだが、そこを突っ込むには、真尋の顔はあまりにも真剣だった。

 なのでとりあえず話の続きを促すと、クール美人は目を伏せて悲しげな顔をした。


「……そのキャラソン、声優の弥寛・エンフィールドが歌うことになってますよね?」

「ああ、まあね……でも光岡先輩サイドから、今ちょっとストップがかかってる状態だけど。先輩は今海外のコミコンに出てるから、俺は詳しいことは全然判らないんだよね」


 和由季のその言葉に、真尋は「なるほど……」と、溜息をついた。


「あの――弥寛・エンフィールド、私の兄なんです」

「えっ」


 思わず目の前にいる真尋と、先日ミーティングで顔をあわせたハーフ顔の声優を脳裏に浮かべ、比べてしまう。

 ぶっちゃけ似ていない。

 いや真尋は美人だし弥寛・エンフィールドはイケメンだが、なんというか系統が思いっきり異なっている。

 共通項といえば、日本人離れした背の高さくらいだろうか。


「エンフィールドっていうのは、アメリカ人だった祖父の姓なんです。祖父は日本人の祖母と結婚して日本に帰化したので、兄の戸籍上の姓は森崎なんですよ」

「ああー……お兄さんが『やひろ』で、妹の君が『まひろ』かぁ」

「その、兄についてなんですけど」


 そこでいったん言葉を切った真尋の顔に、苦悩の影がさした。

 なんていうか、目の前でクール美人にこんな表情をされると、妙な罪悪感が沸いてくる。

 ほらもうなんか周囲の席の客がちらちらこっち見てるし、多分絶対誤解されてる。

 違うんです別れ話とかじゃないんです、そういう関係じゃありませんから!

 ……という和由季の心情を知ってか知らずか、真尋は深刻な顔のまま、言葉を続けた。


「うちの兄……ものすごい音痴なんです」

「えっ――でも声優さんって、歌の仕事も多い……よね?」

「兄は今まで、一度も歌ったことないです。声優事務所に所属するにあたって『歌の仕事は引き受けない』って、事務所の社長に一筆書かせたくらいだし」

「えー……なんだか、すごいね。でもその、失礼だけどそんなに音痴なの?」

「少なくとも物心ついてから、兄の歌を聞いた記憶はないです。……正確には五歳の頃に一度聞いたらしいけど、覚えてないっていうか」

「ほんとに徹底してるね!?」


 びっくりを通り越してドン引きしたが、しかしこれはなかなかに由々しき事態である。

 ボーカル予定の人間が契約を交わしてまで歌の仕事を拒否るレベルの音痴となると、和由季にはお手上げだ。

 訓練次第ではある程度矯正できるだろうが、アニメの放送はこの春からだ。

 おそらくそんな余裕はない。


「ってことは……そんな状態でお兄さん、大丈夫なの?」

「多分、降板を考えてるんじゃないかと思います」

「ええー……俺もあのゲームプレイしたけど、お兄さんの役どころって、ゲームでも結構出番多かったし、重要だったよね。アニメで声優さん変わっちゃうのは、ファンの人も納得しないんじゃないかなあ」


 そういえば、と和由季は今回の依頼についてやや不自然に感じた点を思い出した。

 最初は光岡本人から「ゲームのサントラにも収録できるような、ゲーム全体の世界観に沿ったイメージ曲を、インストゥメンタルで」という指定が入っていた。

 しかしその後すぐにドラマCDのプロデューサーから「イメージ曲ではなくキャラソンに、もちろんボーカル付きで」という指示があったのだ。

 多少不審に思わなくもなかったが、もともと光岡自身がかなり気分屋なところがあるうえに、他人のアイデアも良いと思ったらガンガン採用するタイプである。

 なので一応インストゥメンタルの楽曲も制作しつつ、キャラソンの作詞作曲を並行して行っていたのだが……


「兄の友人が言うには、別の声優事務所が兄を降板させたくて、そういうふうに働きかけたんだろうって。アニメ版に自分のところの若手を起用させるのが目的じゃないかって言ってました。ゲームがアニメ化された時、キャスティングに変更があるのは、全くないわけじゃないからって」

「そういえばミーティングの時、お兄さん微妙な顔してたっけなあ……」

「兄が歌の仕事を受けないっていうのは、業界では結構有名らしくて――過去に、それが原因で流れた仕事もあるんですよね。だから兄を降板させようと思ったら、歌関係の仕事をごり押しすればいけるんじゃないかって思われたんだろうって」

「うーん……光岡先輩は知ってるのかなあ、そのこと」

「私もさすがにそこまでは……兄のところに話が来た時点で『キャラソンを歌う』ってことが、ほぼ決定してたみたいです。そもそも、ドラマCDの話が、かなり急だったとも聞いてますけど」

「声優業界も結構大変そうだね……」


 気の毒ではあるが、こればっかりはさすがに和由季も打開策が浮かんでこない。

 できることと言えばせいぜい、光岡に「最初に受けた依頼と違うんだけど、どうなってるの?」と、確認をとるくらいだろう。


「……実は、スコアも見せてもらいました。っていうか、この話を聞かせてくれた兄の友人が、兄の荷物から勝手にスコアを引っ張り出して見せてくれたというか。それで、児嶋さんが手がけてらっしゃるのを知ったんです」

「あー……お兄さんは妹さんに愚痴るようなタイプじゃないんだね」

「ですね……兄の友人がこう、落ち込む兄を見てられなかったみたいで」

「まあ、そんな遠回しな嫌がらせをされたんじゃね」

「児嶋さんが作った曲、すごく格好良いと思います」

「あっ……ええと、それはどうもありがとう」

「素敵な曲だけど――あれ、兄は絶対歌えないです」


 まあそりゃそうだ。

 ましてや実の妹にすら歌を聞かせたくないレベルの音痴ともなれば、降板一択しかないだろう。

 しかし真尋の「話」がいったいどこにどうかかってくるのか、未だに見えてこない。

 キャラソンをなかったことにしてほしい、というのはさすがに無理だ。

 収録はまだだが、曲は既に完成している。

 実は光岡とは結構親しい和由季が直談判するという手もなくはないが、正直言って付き合いの長い和由季をもってしても、光岡の思考は読みづらい。

 ボーカル担当の声優さんが音痴なのでどうにかならないか、なんて話をしたら「じゃあ降板でいいんじゃね?」なんて、あっさり言いだしそうな男なのだ。


「なので、ここからが相談なんですけど」

「えっああうん、相談ね」

「……兄の代わりに、私が歌うわけにはいかないでしょうか」

「そう来たか!」


 思わず箸を放り出し、和由季は唸った。

 通常であれば「そんなの無理」としか答えようがない。

 しかし真尋なら話は別だ。

 女性にしては低い――というよりは男性のボーカルにしか聞こえない彼女の歌声とあの歌唱力なら、商品としては文句のつけようがない。

 兄である弥寛・エンフィールドの声を聞いてみないことには何とも言えないが、なんといっても兄妹なのだ……もしかしたら、声そのものは、かなり似ているのかもしれない。

 ――だが。


「それじゃ根本的な解決にならないってことは、森崎さんも判ってるよね?」


 あえてその部分を指摘してみると、マニッシュなクール美人は無言で俯いてしまった。

 さらりと流れるショートボブの間から見える耳は、真っ赤になっている――彼女自身、自分がとんでもなく非常識かつ厚かましい頼みごとを口にしている自覚は、充分にあるのだ。


「……ものは考えよう、なんだよね」

「――?」

 

 頭を上げた真尋が、いぶかしげな顔をする。

 脳裏にひらめいたプランをまとめながら、和由季は言葉をつづけた。


「要は、お兄さんが何らかの形で楽曲に参加していればいいわけだ。それなら方法はなくもない」

「でも……」

「まあ、森崎さんが協力してくれるってのが前提なんだけどね?」

「やります」


 食い気味に即答した真尋の目に、迷いはない。

 真っすぐにこちらを見つめる真尋の瞳がひどく印象的な琥珀色だということに、和由季は初めて気がついた。


「光岡先輩はね、いい意味で自分の予想を裏切られるのは大好きな人なんだ。付き合い長いからあの人のツボはある程度わかってるし、音楽については、こっちは一応プロだしね」

「予想を裏切る……」

「ちょっと聞きたいんだけど、お兄さんはリズム感あるのかな? 音痴ってことはリズム感も壊滅的とか」

「いえ――リズム感はあると思います、ダンス得意だし」

「あ、じゃあそっちは大丈夫なんだね」

「アニメ公式のイベントとか、トークショーあるじゃないですか。ああいう時歌えないので、兄はいつもダンスで誤魔化してるっていうか」

「なるほどね、了解」


 ひらめいたプランに手ごたえを感じて、和由季はおもわずにやりと笑みを浮かべた。

 予想を裏切る……つまり、光岡が想定していたよりもいいモノを出せば、彼なら絶対そっちのほうを面白がる。

 直接シナリオを手掛けているアニメならまだしも、ドラマCDでどれだけの発言権を持っているかまでは不明だが、しかし和由季には確信があった。

 ――何より、この仕事を口実に、自分が作った曲を真尋が歌うというのは、願ってもないシチュエーションだ。

 普段「運命」なんて単語は作詞の時にしか使わない和由季だが、この時ばかりは「運命の巡り合わせ」というフレーズに感謝したくなった。


     ※     ※     ※


「えっ、なんで森崎さんが児嶋さんと一緒にいんの!? どゆこと?」

「――カズさんあんた、ほんと何やってるんですか」

「もしかして拉致?」

「ちょっ諒平なんでファイティングポーズとってんの? あと誠、不穏な単語出さないで! 同意のうえで来てもらってるんだから! 森崎さんごめん、俺ちょっと曲の見直しにとりかかるから、事情説明任せてもいいかな?」


 夕食を済ませた和由季に連れられてスタジオへと来た途端、これである。

 三者三様の反応は概ね予想通りだったが、ドラム担当の渡辺研介の姿が見当たらない。

 和由季もそれに気付いたのか「あれ、ナベさんは?」と、ミーティングルームを見回した。


「龍くんと玲奈ちゃんが熱出したらしいっす。明日のレコーディングには間に合うように来るから、今日は帰るって」

「あー、じゃあしょうがないか。さやかさん今忙しいもんね……そうだ、曲作り直すってLINE入れとこう」


 ノートパソコンを引っ張り出して作業を始めた和由季は、あっという間に自分の世界へと入り込んでしまった。

 時々鼻歌で短いフレーズを繰り返しながらパソコンに打ち込み、手元のルーズリーフに何やら書きこんでいる。

 和由季のそんな姿を見た爽太が「うわーああなると児嶋さんって曲が完成するまで何言っても聞こえねーわ」と呟いた。


「で……何故、君がカズさんと一緒にここに来たのかな」


 ミーティングルームのソファにどっかりと腰をおろし、長い脚を組んだ諒平がどことなく投げやりな感じで真尋のほうを見た。

 ミュージシャンというよりはやり手のビジネスマンめいた雰囲気の諒平がやさぐれていると、なんだかちょっと威圧感がある。


「えーと……今児嶋さんが手がけてる『ペインキラー』の楽曲のことで、ちょっと相談に乗っていただきたくて」


 諒平が放つオーラにひるみながら、真尋はファミレスで和由季に説明したのと同じことを繰り返す。

 爽太が真っ先に「えっマジで! 森崎さんのお兄さんってあの弥寛・エンフィールドなんだ!」と、かなりミーハーな反応を見せて食いついた。


「でも……えー、音痴なのかぁ……いやオレ別にがっかりとかはしないけど、声優さんで音痴って、すっげ大変じゃね?」

「実際それで、駄目になっちゃった仕事も幾つかあるみたいです」

「うわー……そうなんだ……声優さんって舞台の仕事もやるよね、そういえば。お兄さん、ミュージカルとかは最初から無理ってことだよなぁ」

「――もしカズさんが『力になれない』と言ったら、君はどうするつもりだったんだ」


 諒平に幾分冷やかな声音でそう問いかけられて、真尋は目を瞠った。


「どうにもならなかった、と思います。どうしても歌わなければならないとなったら、兄は降板を申し出たでしょうし……私は私で、兄の知らないところで勝手に動いて、非常識な厚かましい頼み事をする奴だという恥をかいて終わったんだろうな、と」


 しかしそれでも、兄のためにどうにか状況を打破できる可能性が、ほんの僅かでもあるのだとしたら。

 そう思ったら、動かずにはいられなかったのだ。


「言い訳にしか聞こえないでしょうけど――迷いがなかったわけではないんです。兄の仕事に全く関係のない私が勝手なことをして、それで兄に迷惑がかかる可能性とか、考えなかったわけじゃないんですけど」


 でも――本当に、今更だが。

 兄が歌わされる予定の曲のスコアに記された作曲者名を見た瞬間、運命のようなものを感じたのだ。

 だけどそんなあやふやな言葉を口にするわけにもいかず、真尋はそれ以上何も言えなかった。


「――こちらは君に対して大きな借りがあるし、それを取引材料にすれば、特に児嶋さんは断れないだろうからな。なかなか交渉上手だ」


 感情の読めない諒平の呟きに、真尋は目をまん丸に見開いた。

 真尋の行動を第三者が見たらどんな印象を抱くのか――それを極めて辛辣……もとい、棘のある言葉で言い表された衝撃が強すぎて「そんなこと考えてません」という反論すら浮かんでこない。

 何より、このバンドのメンバーの中では一番の常識人っぽい諒平にそう思われたというのは、地味にきつかった。

 酸欠の金魚のように口をぱくぱくさせ、結局何も言い返せずに俯いた真尋は、耳や頬がかっと熱くなるのを感じて唇を噛んだ。


「うっわー今のはさすがにドン引きっすわ、笹山さん」


 コンビニのカップみそ汁を啜っていた爽太が、さすがに見かねたのか口をはさんできた。

 いつの間にかすぐ傍に立っていた誠が真尋の腕をとり、少し離れたソファに腰掛けた爽太の隣に座るよう誘導する。

 真尋が腰を下ろしたのに気付いた爽太が「あ、森崎さんプリンあるけど食う?」とにっこり笑ってから、再び諒平のほうに向きなおった。


「笹山さんのそういうとこが多分、モテるのに長続きしない理由じゃないですかね」

「おい待て、どういう意味だ」

「言葉通りの意味だけど、自覚ないって重傷っすよ」


 え、ちょっと待って何なのこの流れ。

 気がつけば何故か、諒平と爽太の間に険悪な空気が漂っている。

 おろおろする真尋にそっと紙コップのコーヒーを差し出して向かいのチェアに腰を下ろした誠が、うっすらと微笑んでからこう言った。


「こういう巡り合わせって、もう運命だよね」


 ……正面きってそう言われると、それはそれでドン引きだ。

 ていうか今のこの状況下でそういう単語を口にしてしまえる誠の、鋼のメンタルにびっくりである。


「……ほんとにご迷惑おかけして、申し訳ありません」

「そもそも無理だったら、児嶋さんも引き受けないはずだから。そこはあんまり気にすることないと思うけど?」

「いえ――あの、そういう問題じゃなくてですね」

「笹山さんなら気にすることないよ。この前彼女と別れてから、ずっとピリピリしてるんだ」

「……それは今関係ないだろう」

「でも余裕ないのは事実っすよねー」

「ごめん諒平! ちょっと手伝ってー!」


 作曲に没頭してまったく空気を読んでいなかった和由季が、諒平を呼びつけた。

 ものすごく微妙な顔のまま立ちあがった諒平が、和由季が作業しているデスクへと近づき、何やら相談を始める。

 どうしよう、自分はここにいたほうがいいのだろうか……と真尋が悩んでいると、今度は和由季が真尋に声をかけてきた。


「森崎さん、お兄さんて英語喋れるのかな?」

「あ、はい、結構得意です」

「わかった! もうちょっとだけ待ってて、ボーカルパートできるから。そしたら一回歌って貰って……諒平とりあえずこっち頼むわ」

「俺かよ……」

「仮歌だから! 感じだけ掴んでおきたいから!」

「ドラムパートどうするんですか」

「とりあえず打ち込みで録るから大丈夫、ドラムパートはどうせ明日にならないと収録できないし」

「え、児嶋さんオレらどうします?」

「仮歌録ったら収録し直しだからもうちょい待ってて」

「いいけど相変わらず無茶振りだよね、児嶋さんって。スコアできてるならください、練習するから」

「すげー、過去最速っすね児嶋さん。エンジンのかかりっぷりが全然違うわー」


 目の前で彼らが動き出す。

 和由季が「曲の見直しに取り掛かる」と宣言してから、まだ三十分くらいしか経っていない。

 真尋があっけにとられていると、爽太がしみじみと「児嶋さんって音楽に関しては、結構チートなんだよなぁ」と呟いた。

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