プロローグ・末路
HP 15億5000万
遥か上空にいるのは一匹の白い巨龍のHPを見た瞬間に挑戦者達は絶望する。
対峙しているのは10人の人間と"少年一人と一匹"
十人の内、一人の少年はこの計画を激しく後悔した。俺達は喧嘩を売る相手を間違えた、彼が何もしてこないことを良い事に調子に乗りすぎた。"相手が精神的に弱いから何も言ってこない"なんて誰が言ったんだ、"俺達は取るに足らない存在だから見逃されていたんだ"と
「"恐れろ、この世界は彼女が納得いくまで何度も再生と破壊を繰り返すだろう"」
少年にも少女にも聞こえる声が彼らを支配する。十人のうち一人が背中を見せて走り出す。
――――無論削り切れないHPではないのだ、しかしそれはバフデバフ、妨害担当が合計20人、ヒーラー10人、火力担当が20×2部隊いればの話だ。とても10人では話にならないのだ。
『"さぁ破壊と再生を繰り返そう、何度でも何度でも"』
今度は女性の声がする、しかしそれはこの巨龍の声だ。
「な、なんとしても"詠唱"を妨害しろ!」
この十人を集めたリーダーだろう一人の男が叫ぶ、だがもう手遅れだ。半数は逃げ出し、残りもその場にへたり込んでいる。"というかそもそも火力十人でどうにかなると思った時点でバフデバフや妨害、連携を疎かにしているのがよくわかる"
「"恐らく、彼らはこれから起こることを忘れるだろう"」
『"強すぎる希望の光は破壊の闇と何も変わらないから"』
「認めない……認めない認めない認めない認めない認めない!」
リーダーも遂に手遅れと悟った一人と一匹にたいして呪詛を吐く。
「"さぁ再生するためにまずは終わらせよう"」
『"とりあえず壊して、治そう"』
遂に詠唱が終わる、それと共に温かな光が十人を包む。
「こんなクソバランス認めてたまるかぁああああああああAAAAAAA!」
「"世界を壊せ、再生の光よ"」
『World Destruction!!』
叫んだ彼を襲ったのは一方的に押し付けられた温かい光だった。