第十八章 情報
アジトの四人がけのソファに、十三番と西園寺は隣り合って座った。おもむろに西園寺が語り始める。
「このカプセル弾は父からもらったものなんです。いつか必要な時がくるからって。私、意味が解らなかったんですけど、父がいつになく真剣にいうから…」
「さっき話していたことは?」
「さっき車を運転していたお姉さんが言っていたこと、父がよく話していたことなんです」
そういえば二十五番と西園寺は自己紹介をしていない。まぁ二十五番からすれば西園寺の個人情報は把握しているわけだし、する必要もないだろうが。
「あの、今度は私から質問いいですか?」
「ああ」
十三番は堂々と構える。そうすることで、先程話についていかなかったことをぬぐい去ろうとした。
「信用出来ないんだってさってどういうことですか」
西園寺は強い目をして、十三番を見た。西園寺の質問は十三番にとってかなり意外なものだった。一番最初に聞いてくることは、てっきり十三番の祖国や二十五番のことだと思っていた。まさか十三番個人の話を聞いてくるとは。
意外で驚きもしたが、苦々しい思いの方が強かった。答えにくい。
しかし、約束をした。自分の知っていることは全部話すと。そして十三番自身ももっと西園寺に聞きたいことがある。
何故、自分が狙われていると知っていたか。父の部下の逮捕をあんなにも驚いたのか。自由研究とはどういうことなのか。
そう、これは取引なのだ。西園寺の答えを知るためには、十三番は答えなければならない。自分の持っている情報を。十三番は苦虫を噛み潰したような表情で、話始めた。