拾弐章─それぞれの属性─
翼「よし!僕達もやるときはやらなきゃね!」
流「だけど、やはり火力が…」
調「私達、まだ全て出しきったわけでは、ないでしょう?」
優「まだ残ってる筈だぜ。未だ数人しか使っていない…」
調「『属性』の、力が。」
香「そう来ちゃいましたか。なるべく隠しておきたかったのに…。」
翼「しょうがないよ。使おうじゃないか。こうなってしまっては、使わないと、健の二の舞になりかねない。」
宰「じゃあ一番乗りは僕等がもらおう。いくよ!青葉さん!」
流「しょうがない。やるとするか。」
宰「『蔦棒』!!」
ヌンチャクが葉を生い茂らせ、伸びてプリズンの体に巻き付く。
流「草属性の私のこの技は、相手に巻き付き、絞めながら養分を吸い取って更に強大になる。時間をかければ、誰だって殺せてしまうのだが…」
は涼しい顔で、ヌンチャクから抜け出した。
宰「すぐに抜け出されると、全く効果がない、かあ。」
翼「じゃあ二番手は僕等だ!」
香「『鎌鼬』」
刀が翼の両腕と合体し、鋭い隠し刀のようになる。
翼「一撃で仕留めてやる。」
翼が素早く、且つ大きく両手を振る。
すると、プリズンに大きな切り傷ができる。
優「どういうことだ!?」
香「鎌鼬を作り出したんです。鎌鼬とは、風の刃。鋭い刃物を素早く振ることによりできる、自然の猛威のようなものです。ですがあまりに素早く振らねばならないため、自分の腕をも壊しかねない、言わば諸刃の剣です。」
翼「…の割りには、あまり重傷ではないようだね。」
翼の腕の負担に対し、プリズンはほぼ無傷。
プリズン「排除…排除…排除…」
何発もの黒球が放たれる。
全て避け、追ってくる黒球から逃げ回っていると…
調「私達のこと、忘れないでください!」
黒球が、きれいに浄化される。
調「私は浄化属性!もしかしたらプリズンも、きれいさっぱり浄化されてくれるかもしれません!」
優「おし!物は試しだ!やってみてくれ!」
調「了解です。聡さん、弾を装填してください。私は照準を定めます。高価な弾で、外したくないので。」
聡「OK。」
優「何か時間がかかりそうだな。じゃあ次は俺が!」
桜「健…もうちょっとだからね!あと少しだよ!あと少しの辛抱だからね!だから…だからそれまで…」
宰「大丈夫です。健様は、あなたより先に死んだりしませんよ。折角守った人を守ったことにより悲しませるほど、健様は馬鹿ではありませんので。」
桜「でも…こうやって言葉をかけていないと、あたしが不安になるんですよ。健を応援してるように見えて、実は自分を慰めているだけなんて…弱いですよね、あたし。いつもいつも守ってもらってばかりで。この前だってそう。あたし、健を襲って…」
宰「それ以上は、健様に対する冒涜ですよ。健様は、素人に殺されるほど弱くはありません。特に、自分のせいで死にそうだと卑屈になっている、あなたにはね。」
桜「宰さん…」
宰「あなたのせいであることは、否定できないのかもしれませんし、否定するつもりなど毛頭ありません。ですが、事は一刻を争います。卑屈になって泣きじゃくるなら、お一人でしていただきたい!あなたが今できることは、自分を責めるのではなく、健様の無事を信じ、心を強く持つこと!こういう場面で悲しんだって、誰も得はしません。どうせなら、誰かの得になるように、健様の得になるように、強く生きてください!」




