拾弐章─バイク・登場と搭乗─
優「どういうことだ!」
老婆「わからん…やはり十五年前の儂のように、戦って倒すしか、ないということか…」
聡「老婆さーん!」
老婆「何じゃ?」
聡「津田を回収したので、病院まで運んで頂けませんか?」
老婆「勿論じゃ!宰、行ってこい!」
宰「了解しました。宰、ちゃんと戦うんだぞ!」
宰「ていうか、僕は後援科だけどね。」
優「その前に、どうやって運ぶんだ?」
宰「紀仁は僕の幼馴染みです。電話で事情を話せば、飛んで来てくれるでしょう。では。」
調「聡さん…あなたには、出来ますか?」
聡「何が?」
調「あなたには、命懸けで桜さんを守る自信が、おありなのですか?」
聡「調…」
調「無いのであれば、直ちに諦めないと、不幸な思いをしますよ?もうそろそろ、潮時では?」
聡「いや、僕は、奴とは逆の道を行く。」
調「逆の道?」
聡「僕は、守るのではなく、桜さんを危険なところに行かせない道を選ぶということだよ。」
調「説得は無駄、ということですね。」
聡「そういうこと。」
調「ならば私も引き下がりはしませんよ。」
聡「どういうこと?」
調「いえ。こちらの話です。」
桜「健…」
いつのまにか、回収した健を抱き抱えている桜。
宰「さあ、行きますよ、桜さん。」
桜「あたしも一緒に行くわ!あたしのせいで…あたしのせいで、健が…こんなに酷い目に…」
宰「当たり前です!健様がおられないとき、あなたがここにいるのは危険極まりない!健様が命懸けで守られたあなた様のお命を、そのような危険に晒すわけには参りません!」
桜「宰さん…」
宰「皆さん、同じ事を、思っておいでですよ。さあ、一緒に参りましょう。」
優「行ってこい。」
老婆「まあ、戦闘科がいない限り、後援科がいる意味はあまりないからの。」
宰「奥様。あまりそういう言い方を、なさらないでください。一応、息子も後援科でございます故。」
老婆「そうじゃったの。まあそんなことはどうでもいい、早くせんか!」
宰「了解しました。既に船を呼び、バイクをそこに用意してあります。急ぎましょう。」
調「こちらも出来得る限りの手は尽くしますので、お気を付けて。」
桜「もちろん!」
宰「では。」
老婆「宰よ!」
宰「何でございましょう。」
老婆「今日は、解放してもよいぞ。」
宰「言われなくても、そうするつもりではございました。」
老婆「うむ。じゃあの。」
宰と桜はバイクに乗り込み、エンジンをかける。
宰「戦島専用バイク、『全速力』!!!」




