拾弐章─封印双弾・二つの封印属性攻撃─
キーン。
優は、死ななかった。
それは─
老婆「やはりプリズンには知能は備わっておらんようじゃの。」
宰「祈りのみで単純な動きをする生命体ですから。」
斧と優は反動で何メートルも吹っ飛んだ。
健「え!?」
桜「な…何で……」
明「盾斧は、接触した物体に対してはたらく反動を増やして、攻撃から身を守る技。自分の首と接触したときの反動で、斧は手から離れ、体は吹っ飛んだんだ。どうだ、単純だろ?」
翼「なるほど、一瞬ヒヤッとしてるように見えたのは、分かっていたとはいえ、まだ確証はなかったからか。」
明「盾を使ってる間に自ら死を選ぶ時どうなるかなんて、分かったもんじゃないからな。」
プリズン「悪しき女……排除………」
巨大な黒球がまた、プリズンの手の中で成長を始める。
健「俺、さっきのから一つ、学んだことがある。」
桜「何を学んだの?」
健「まあ後で教えてやっから、お前はそこから動くんじゃねぇぞ。」
プリズン「排除…開始。」
黒球発射。
健「要は…無駄に盾を使うなってこった。」
調「まさか!!」
桜「健!!!!!」
遅かった。健は黒球を、無防備にも両手を広げた状態で受けた。
桜「健!」
桜が駆け寄る。
調「『網弾』」
その桜を捕まえ、回収する。
桜「何すんのよ!放しなさい!この際王女として命令してもいい!放しなさい!健を病院まで、連れていかせなさい!」
泣きながら懇願する桜。
聡「駄目ですよ!このまま駆け寄れば、津田が折角守った桜さんの命を、危険に晒しかねません!」
桜「でも健は、このままだと…」
優「死なせねぇ。こうなったら、前線の仕事だ。あいつが死なないうちに戦闘を終わらせ、あいつを病院に連れていく!」
翼「だが決定打に欠ける。あれだけ早くチャージされる球が、このエネルギー量なら、防御も相当なもののはず。流石にプリズンといったところではあるが、それではこちらとしては何も出来ない。」
光「私がやるわ!」
迷「本物の戦いでは、火力に欠けるため、あまりお役には立てませんので、こういうところで活躍しておかないとかっこ悪いので。」
光「行くわよ、迷。」
迷「忘れずに弾は込めましたね?」
光「あんた、あたしを姉だと思ってないでしょ。」
迷「では、『封印双弾・闇』」
光「『封印双弾・光』!!!」
金色と漆黒の鎖が二丁の銃から延び、プリズンを包んで動きを封じた。
光「さあ!これ、長持ちしないから、早く津田の回収を!!」
調「了解しました。『網弾』」
既に動いていない健を捕まえ、回収する。
老婆「皆、終いじゃ!今一度封印を行う!皆の者、攻撃をするでないぞ!鎖も外すんじゃ!」
そう言って、老婆は『静』と唱え始める。
皆が静まり返った。まるで世界中がそうしているかのような、静寂だった。
─その静寂を最初に破ったのは、老婆の『ダメじゃ!封印できん!』という声であった。




