拾壱章─その御嬢様、御知り合い?①─
宰「え?そんなに大人数で、ですか?」
健「あぁ、ダメだったら、俺とか優とかは、外で寝ても…」
宰「いえ、そういうわけではございません。試験で来たときはまだ、桜様と優様としか御一緒されておられませんでしたので、健様もたくさんのお友達を作られたものだなぁと、感心していたところでございます。」
健「そういえば、そうだったな。言われてみれば、生まれて初めてできたダチが、桜だもんなぁ。」
宰「いえ、それは違うように思います。」
健「?どういうことだ?」
宰「確か健様がまだお小さい頃、どこかのお嬢様のような方と、一緒に遊んでおられました。」
健「そうか?あまりそんな気はしねーが…」
宰「まあ、その方も、こちらに昔別荘を構えてらしたから、というわけでしたので、それがなくなってからは、こちらに来ることはなくなってしまいましたので、健様が忘れてらしても、無理はないのでございますが。」
健「ダチを忘れるなんて、不覚だな。」
宰「いえいえ、まだ物心がつくかつかないかの頃でございました故。それでは、私はこれで。」
健「おお。」
健は電話を切った。
滝田「そうかー。津田にもそんな女の子がいたかー。」
健「『にも』って?他の皆にはいるのか?」
滝田「ゲームやアニメでよくある設定だよ。『思いでの女の子と再会』とかいうのは、思い出した頃に決まって─あ、そうだ。確か今度、うちのクラスに、日本の財閥のお嬢様が転校してくるらしいぜ。もしかしたらその子かもな。」
健「そんなばかな。宰だってうろ覚えだったんだ。もしかしたらいなかったかもしれない。」
滝田「それじゃあおもしろくなかろう。」
健「どういうことだよ!?」
滝田「その女の子と轟の目が合った瞬間、何色の火花が発せられるか…あぁ、今からワクワクしてきた。」
健「?何の話だ?」
滝田「あぁいや、こっちの話。ともかくその話、轟にはしない方がいいかもな。」
健「何で?桜に昔のダチの話しちゃ、いけねぇのか?」
滝田「いやぁ、そんな話を聞いたら、ちょっと悲しい気分になるぞ、あいつ。」
健「何で?」
滝田「いいんだよ、お前は分かってなくて。」
健「ちぇっ、なんだよそれ。まあいいか。」
滝田「あぁそうだ、お前が何とかできる問題じゃない。」
健「へーい。」
滝田「そうそう、頼まれていたやつだけど、明日らへんには完成するから、GWまでには何とかなるぞ。」
健「そうか、ありがとう。」
滝田「皆席に着けー。今日は転校生が来ている。」
転校生「こんにちは、私、緒河 菫といいます。皆さん、宜しく御願い致します。」




