拾壱章─変な桜─
健「お、随分早えーな。」
桜「まあね。大して話さなかったから。」
健「何の話してたんだ?」
桜「秘密よ、ひ・み・つ。」
健「ま、またそれかぁ…」
桜「あんた、・つけて喋ると、弱くなるの?」
─桜もなかなか、鈍感らしい。自分の寝言のせいだというのに。
健「あ、いやぁ、そういうわけじゃ、ないんだけど。」
桜「あ、わかった。初恋の人に似てたとか?っていうかその人、・つけて喋んのが癖だったとか?」
健「…初恋?」
桜「…ごめん。」
もはや突っ込みどころが多すぎるので、この頃桜は下手に突っ込まず、悪くもないのに謝ることにしている。だが、そうすると決まって、
健「だからこの前から聞いてるけど、何に対して謝ってるんだ?」
桜「まあ、いろいろと。」
健「最近何か変だよな。桜。」
桜「そ、そんなに変?」
健「今日だって狼狽えまくってたし。」
桜「え!?」
慌てふためく桜。
健「いい加減話してくれよ。『秘密』って一体、何なんだ?」
桜「秘密だから秘密なんじゃない。」
健「はぁ…もういいや。明日はカレーがいいな。(期待の眼差し)」
桜「ダメよ、昨日も先週もその前の週もカレーだったでしよ。」
健「じゃあラーメンは?千葉で食べたラーメンは、うまかったぞ。」
桜「ら、ラーメン?」
健「ダメか?」
桜「あ、いやぁ、その…イマイチ作り方覚えてなくて…別に作ったことないわけじゃないからね!」
健「…桜。」
桜「な、何よ。」
健「その台詞、作ったことのない奴が言う定番だぞ。」
桜「だ、大丈夫、あたしを誰だと思ってるわけ?作れないわけないでしょ?に、日本人なんだから、全く作れないと言うわけにも、いかないのよ!」
健「んじゃあ今日はラーメンで決まり。そして明日はカレーで…」
ゴン!
健は背後から近づいてくる桜に気づかず、突っ込みの平手打ちを頭に喰らい、起き上がると─
カレールーがかごから消えてしまっていた!




