拾章─初合宿・エピローグ─
健「ったく、大変な合宿だったよなぁ。」
桜「そうね。時間を忘れちゃうぐらいだったわ。」
健「そういえば今日って、何月何日だっけ。」
桜「五月二十三日よ。帰ったら二週間後にテスト。」
健「あ、そうだったな。すっかり忘れてた。」
健「健はいいよね。頭がよくて。結構いい線、狙えるんじゃない?」
健「バーカ。俺は頭なんてよかねぇよ。昔っから御師匠様にバカバカ言われてたしな。今だって言われるし。」
桜「そりゃまあ、頭がいいことは確かだけどバカなこともまた確かよね。」
健「そりゃどういうことだ?」
桜「おーしーえない。」
健「いいじゃんかよ、教えてくれよー。」
テレビ「沖で船の乗組員らしき死体が大量に発見され、物議を醸しています。」
健「げっ。」
光「まあばれても、あたし達三人の証言と、この学校の権力があれば、不問で済むでしょ。」
桜「この学校って、そんな権力あんの?」
光「あるわよ。何せパワーウエポン科がある、唯一の学校よ。世界政府だって力を入れているパワーウエポンの教育をいろんな学校が人気のなさから断っているなか、唯一それを引き受けているんだから、ちょっと頼めば揉み消せるわ。」
健「まあそう言われればそうだな。ウチがやめたら、世界政府はとんだ赤字だ。」
テレビ「『千葉☆ファンシーランド』で神使が襲来した事件について、専門家達が…」
健「でた。」
光「でも何か、イメージと大分違ったわよね。」
健「……」
桜「どうかした?」
健「今回、色々と附に落ちない戦いだった。」
滝田「ちゅーうもーく!テスト終了後、初合宿総合優勝を記念して、祝賀パーティを行う!」
篝「ぱ、パーティ、ですか?」
滝田「まぁ詳細は後で。」
─そのとき、体が宙に浮くような感覚。
その後、縦揺れに続き横揺れ。
健「あれ、ちょっと早くねぇか?」
一「ま、まさか…」
滝田「間違えて、太平洋じゃなく日本海に入っちまった。」
─この後、来たときの倍の時間をかけて帰った、可哀想な高校生達であった。




