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壱章─健の寮─
桜「んじゃ分かった。あたしが今から、寮の使い方、教えたげる。」
健「へ?」
桜「あんたの寮、何処?」
健「この道の突き当たりだけど…」
桜「んじゃ行こ!拳銃学科の人の恩、まだ返してないし!」
健「え?あっちょっ、ちょっと待てよー」
桜は健の寮のある建物に着いた。
続いて、健も追い付く。
ドアが開いて、入っていく桜の鞄から、何かが落ちた。
健「なあ轟さん、これ何だ?」
桜「え?あぁ、それ。なんか拾ったの。学校に届けようか迷ってたんだけど。」
健「ふーん。」
そう言ったきり、特に会話もなく、二人は健の部屋に入っていった。
???「クソー、あいつ、ちょっと前まで俺らと野宿してたかと思えば、女見つけて部屋に連れ込みやがって…」
?????「『俺らと』は間違いだろ。
俺らは野宿するとき、飯を分けあったり、飯食いながらしゃべるだけの仲間だろ。それにあの部屋見りゃあ、女とも切れるさ。」
???「フ、それもそうだな。それは気味がいい。いっそこのまま、暖かく見守っててやっか。」