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九章・旅館探索②─発見─

健「あのー、すみません。」

職員「御一人、ですか…?」

心底驚いた様子で見つめてくる。ホテルなんだから、一人でも別に珍しくはないだろうに。

健「いや、そうじゃなくて、今日は『遊☆楽☆亭☆』というところに泊まる予定なんですけど、道に迷っちゃって…」

職員「じゃあ、相手の方はどこに?」

健「『相手』って、何の?」

職員「『何の?』って…そんなの決まってるじゃないですか。ここにお泊まりになるんでしょう?」

健「だから違うって…」

職員「何が違うんですか。あなた今、御自分で仰いましたよねぇ。『遊☆楽☆亭』に泊まる予定だって。」

健「言ったけど…それが何か…あ!」

職員「でも申し訳ありませんが、本日は学生様で一杯で…」

健「いや、それ、もしかして、『第一舞奏市立高校』って名前で、予約入ってない?」

職員「あーはい。それです。それが何か…あ!」

健「今、先生と他の生徒を呼んできますんで。」

職員「お待ちしてまーす。」


宰「どうでした?」

健「ここだって。」

宰「そうですか。ここでしたか…奇遇なこともあるもんで…ってんな訳あるか!?」

健「それがそうらしい。まあ考えてみりゃあ、ここだって宿泊施設だ。ただ酔ってイカれてたのは、ナビじゃなくてここを『旅館』だと告げた台詞だったってこった。」

宰「いや…でも流石にこんな…高校生の合宿の宿泊先がラブホなんて、そんな馬鹿な…」

健「その『ラブホ』ってのが永遠の謎だが、まあ今日はゆっくり疲れを癒すとするか。」

宰「健様はようございますね。一人だけ何も知らずにゆっくりと羽を伸ばせるなんて…」

健「お前は出来ないのか?『ゆっくりできそうにない』なんて言ったら、いきなりホテルの人の心象を悪くするぞ。」

宰「そりゃゆっくり『デキる』ことに相違はありませんが…」

桜「健。全員連れてきたけど…ほ、ほほ、ホントにこ、ここなの?」

健「何だ。慌てた様子で。」

桜「皆動揺してるよ。高校生の合宿でラブホだなんて…」

滝田「あ…あった!」

優「何が?」

滝田「今日のラストミッションだ!それは『旅館探し』なんかじゃなく、『心の底から沸き上がる性欲を押さえつけろ!!!』だった!!」

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