四章─回想・健の生い立ち④─
健l「ぶぁっくしょん!!!」
─っかしいなあ。風邪でもひいたかなぁ。さっきから何回も何回も、くしゃみが止まらん。
現在、絶賛留守番中である。どうしてかって?そりゃ、5時よゆーで過ぎた後に出掛けて、御師匠様が黙ってる感じがしなかったから。そう、今でも忘れぬ、あの苦しみの日々。
─健回想 家の前
老婆「こりゃ!何しとる!」
健「何って、御師匠様の真似して、薪切ってんだよ?」
老婆「床拭き掃除十往復!!!」
刻の木の上
老婆「こりゃ!何しとる!」
健「何って、宰さんの真似して、木のてっぺんから飛び降りようと…うわったったっ!」
老婆「床拭き掃除五十往復!」
囲炉裏
老婆「こりゃ!何しとる!」
健「何って、御師匠様の真似して、料理してんだよ。」
─数分後。
老婆「どれ一口。」
……………
老婆「まずっっっっっっっっ!!!」
健「そ、そんなに…?(絶望の底)」
老婆「てゆーか焦げとるわ!床拭き掃除五往復!!!」
健「うわーん。」
老婆「お前に料理は無理じゃ。料理してくれる人をはよ見つけるには、都会に出たら、レディにだけは優しくせぇよ。」
健「うん。」
─ああ、この生活のお陰で今は、桜にも言われるほど、床拭き掃除だけはうまい。桜の部屋のように新しい部屋なら、一往復で見違えるほどピッカピカになる。
健「あーねみ。寝るか。」
健は、『寝る』と決断してから寝るまで、一秒要らない。寝転がるよりも前に脳が『睡眠』という指令を下し、いつでも何処でも自動で受け身をとって、倒れても怪我はなく、無傷で睡眠状態に入る。
─ただ一つ、高校生になって変わったことがある。この家でなら、何処で寝たって布団をかけられ、気持ちの良い朝を迎える。
だが、桜の部屋の床で寝ようものなら、まず蹴っ躓かれる。その後、「何処で寝てんのよ、もうっ!ほら、起きなさい!」となり、痛々しい夜に不時着する。
まあ、ここならそんな心配もない。今日は存分に寝よう。
桜達、帰宅。
老婆「ほっ、やはりこ奴は、こんなところで寝よってからに。」
桜「可愛い。」
そう言っていると、優が健の布団を持ってきて、健にかけてやる。
優「ま、こいつなら、敷布団は無しでも寝れるな。」
宰「皆様の布団も、準備が整いましたよ。」
なんて幸せなんだろう!
サバイバルと聞いて一時はどうなることかと思っていたが、改めて『布団があること』の幸せを、噛み締める桜であった。




