四章─寝床と宰と御師匠様─
謎の老婆「そろそろかの。」
従者「は、何がでございますか。」
謎の老婆「『奴』じゃよ…お主も会っておろう、あ奴には。」
従者「は、奥さまも手を焼いておいででした…それが、今ではあんなに立派になられて…」
謎の老婆「馬鹿者!!!いないとはいえ、あ奴に敬語を使うでない!陰でやっていると、いざ会ってみてもやってしまうものじゃぞ!」
従者「すみません。ですが、あの方は奥さまの御子息同然。こちらの心情的に、つい使ってしまうものでして…どうか、御理解ください。」
謎の老婆「馬鹿者!!主人がダメといっておるのじゃ!!!言い訳つけて続ける従者がおるか!息子だろうがそうでなかろうが、使うなと言ったら使うな!」
従者「すみません。奥さま。」
─現在、絶賛寝床確保中である。
健「もう、どこでもいいからさっさと決めて、飯にしねーか?」
桜「ダメよ。あたしがいいと思ったところがないと。早く食べたかったらさっさと探しなさい!」
健「いーじゃねーかよー。んなもんどこでも。」
桜「ダメって言ったらダメなの!!!」
優「って言うかお前、ここ住んでたんだろう?ちょうどいい寝床の一つや二つ、知らねーのかよ?」
健「知ってるわけねーだろ。春夏秋冬いつでも門限は五時厳守!一秒でも遅れたら雑巾がけ3百回!外でぐっすり寝てなんかいたら、一生雑巾がけの日々だったかもな!!!」
─地味に恐ろしい話である。
桜「ところで健、その『御師匠様』の家は、あとどのくらいで着くの?」
健「いやー実は今、絶賛遠ざかり中なんだよ。」
桜&優「えぇえ~ー!?」
桜「全力疾走で行かなきゃ叱られるんじゃないの!?」
健「そう思ったんだけど…お前がめっちゃ先に進みたがってたから…早いか遅いかは、後でいくらでもごまかせるしなぁ…」
桜「折角その人の家に泊まれるかって期待してたのにい~。」
健「んなこと言われてもなぁ~。」
優「それじゃあ、戻ったらどうなんだ?」
桜「いやーでも、結構怖そうだし…」
健「んなこたぁねーぞ。ちゃんとしてればな。」
桜「なんか、さっきと話が矛盾してない?」
健「いやいや、それは俺が遅刻とイタズラばっかりしてたから…」
従者「懐かしいですなぁ。奥さまが健様に鞭打っているのを見て、皆大笑いでしたからなぁ…」
健「お前、それを言うんじゃねぇ…よ…?」
優「何だ、敵か?」
優が斧を構える。
健「いや、そういうことでもないんだが…」
従者「自己紹介が遅れましたな。私は暁宰と申します。」




