弐章─迷─
健「あ、あなたは…」
桜「なに?知り合い?」
健「いや、厳密には知らないに等しい。昔の写真か何かで見たことがあると思ったんだが…」
少女「やーだなにそれ。私はそんな年寄りじゃないわよ。」
健「やっぱり写真のこと、知ってるんだな。」
少女「はい?」
健「俺は『昔』としか言っていない。それだけで、写っている者が今じゃ年寄りだと解るのは、写真を見たことがあるだけでなく、それがいつの写真か、誰かに教わったってこと。」
少女「その写真を知っていることは、認めましょう。で、なにか私に聞きたいことでも?」
健「おれと何処かで会ってない?諸 迷さん。」
少女「大正解。私は諸迷です。小さい頃だったわね。そのとき、姉はいなかったけど。行きましょ、轟さん。」
桜「え、あ、うん。じゃあね、健。」
健「いや、そうはいかない。」
桜「何で!?」
健「よく考えろ、桜。お前は誰と行く約束をしてたんだっけ。」
桜「あ…!そうだった!」
迷「流石ね、大正解。パートナーを無事守ることができた。合格よ。」
健「それはどうも。いこうぜ、桜。」
桜「うん。じゃあね、諸さん。」
迷「迷でいいです。紛らわしいでしょう?」
桜「それもそうよね。じゃあ迷ちゃん、またね。」
迷「じゃあ。」
謎多き少女、諸迷を残し、二人はその場を去った。
─この後、ものすごくヤバい部活見学が、幕を開ける…!




