拾四章─開戦─
健?「行くぞ!優!戦うことしか、自分の信じる物を信じさせることにしか力を使えねぇ奴等に、引導を渡してやる!!!」
優「おうよ!」
守衛・血「無理だね。」
健はニヤリと微笑った。まさかこんな近くに、自分に倒されに、やって来るなんて。
健?「覚悟は、出来てるんだろうな。」
守衛・血「ここには沢山の人質がいる。僕に飛び掛かってきたら、座標指定攻撃で全員、仕留めるだけだ。」
見渡すと、確かに、そこには縄で縛られ壁に括りつけられた人質(調や聡達)がいた。
健?「残念。この程度なら、いつでも解ける。」
ゴウ、という音がした。
すると一瞬の内に全ての縄は切り刻まれ、バラバラと落ちた。
そしてそこには、もう人質はいなかった。
そして、守衛・血に、優には致命的にしか見えない一撃が。
守衛・血「かはっ………」
守衛・血は、血を吐いた後、こう言った。
守衛・血「予想はしていたが、まさか…ここまでとはな…」
健?「どうだ、これで、道を開け─!?」
守衛・血の出血は、完全に止まっていた。
守衛・血「俺が守衛の中でも『守衛・血』と呼ばれている理由、それは、血を操る能力、『血液循環操作』によるものだ!」
健?「そんなの─」
ぐさり、という鈍い音が走る。
健?「脳幹貫通しちまえば、関係ねェだろうが。」
守衛・血は、倒れた。呆気なく。本当に呆気なく。
だがそれは、守衛・血が弱かったわけでも、健?が強かったわけでも、ない。
躊躇いが無さすぎたのだ。
眼の色が戻った健は滴り落ちる敵の血を見て、酷く顔をしかめた。
そして─
健「いちいち俺のしたことなんかで立ち止まっちゃいられねぇ。とりあえず急ぐぞ、優。」
優「健…」
これ以上は、何も言えなかった。
言わなかったのではない、言えなかった。
とても。
─健が落ちる数分前─
琴「着きました。ここです、儀式場は。」
そこは、一言で表すならば、真っ白な場所だった。
部屋の真ん中には、透明な魔法陣のようなモノが描かれている。
そして驚いたことに、その魔法陣の上に、向かい合うようにして立てられている一対の十字架があった。
桜「これは─?」
琴「『神襲終了儀式』のための神器、『鎮戦十字』です。あとは私とあなたがこの十字架にもたれ掛かれば、準備は完了。あとは衛さんがここまで来て、私の十字架に触れて詠唱を行えば、祈祷『神襲終了儀式』が発動します。
っと、その前に。」
琴は何やら訳の分からない言語で話し始めた。
琴「∀¢∋∃∬ 〓仝∴⊥∇ ¢∀⊥ ∬∋仝∧」
桜は頭痛がした。
そして眠りに堕ちた。
─意識がない内に、またここにつ連れてこられてしまったようだ。
桜は、思い出す。そういえば、結婚式のときも、こんな教会にいたような気がする。
桜は、結婚したのだ。
桜がこの世で最も愛する、自分を守ってくれる
─津田 健と。




