弐章─慣れてしまった新しい日常─
─朝─
桜は起床した。隣のベッドでは健が寝ている。
同居生活三日目。今日は同居以来初の登校日。
思い出せば金曜の夕方。どうしてあんなことを言ってしまったんだろうと、今でも不思議に思う。
「あたしの部屋でもいいから!」
今日から大変そうだ。
健が起きた。
健「おはよ。」
同居して幾つか解ったことがある。
・健は寝癖がひどい。今日も絶好調だ。
・健は寝相が悪い。今日は珍しくきちんとベッドの上で寝ていたが、昨日と一昨日は床に転落していた。
・健は性に対して全く興味がない。年頃の男が、女子高生と一緒に寝泊まりしていたら、2、3日もすれば変態みたいなことしてもおかしくはない。それなのにそんなことは全くない。それどころか健は毎日、桜よりも早く布団に入る。
・健は料理ができない。昨日やらせてみたら、何を作らせても焦げてしまっていた。
健「おーい桜、何ボーッとしてんだ。体調悪いんなら、代わりに俺が料理作ろうか?」
そしてさらに、もうひとつ。
─健は、自分が料理ができないと言う自覚が、全くないのである。
桜「大丈夫!今日は学校なんだから、体調悪くなんかなってられないわよ!!!」
健「んじゃ頼むぜ。朝から腹が減って仕方ねーんだよ…」
桜「わかったわかった。今日もとびきり美味しいご飯を作ってあげるから!ちょっとまってて!」
─色々言ってはいるが、かくいう桜も、とっくに同居生活に慣れてしまったようである。




