拾四章─座標指定攻撃─
健「結局ついてきちまったけど、大丈夫なのか?」
琴「なにがですか。」
桜「あの優秀な『守衛・血』無しでは、『弱点合図も宝の持ち腐れ。逃げることだってできるのよ。」
琴「あなた達が逃げようものなら私は後を追います。そこに衛さんが待ち構えていれば、『弱点合図』は使用可能です。あの人は腕がたちますから、殺られるにしても相当な時間がかかり、その間に私が到着すればあなた方に勝ちはありません。要は私は衛さんに声が届く距離にいればいいわけで、まさか私を殺していくような人達ではないと信じていますから。」
健「その保証はしない方がいいぜ。」
琴「PR-5」
健「なんせ─むぐぅっ!?」
琴「余計な口は、噤んでもらわねばなりません。─あなたもこんなことになりたくなければ、駄々をこねずについてくることですね。」
桜「─っ」
健心の声『こいつをどうにかしなきゃ、桜が─』
琴「座標指定攻撃です。神殿内でのみ用いられる特殊な座標指定により、正確にそのポイントに攻撃します。」
桜「さっきから思ってたけど、あなたずいぶん早口ね。」
琴「そうですね。迅速な情報伝達は基本であり、その癖がついてしまった、と言うべきでしょうか。」
健「ぷはーっ。」
琴「!座標は性格だった筈。座標指定攻撃に手心は加えていない。
─当然ですね。」
健「なにが当然なんだ?」
琴「ですが神襲終了儀式までは邪魔は許しません。邪魔しようものなら、先程よりもっと強力な攻撃が待っていますよ。」
桜「『神襲終了儀式』って?」
琴「読んで字の如く。神襲を終わらせる儀式のことです。未来の姉妹である我々を生け贄に、神襲を終了させ、たくさんの人々の命を救うための儀式なのです。」
健「テメェ…なめてんのか…」
琴「いいえ。ですが─」
健「そんな言い方して、桜が協力しねぇはずねぇだろうが!」
桜「協力しない理由なんかないじゃない。」
健「でもな、桜…
神襲終了儀式の完遂には、お前の消滅が、不可欠なんだよっ!」




