拾参章─捕らえられた桜─
健「桜ァー!!!」
叫びながら走る。ただひたすら、桜の元へと。
琴「また逢いましたね。」
健「退いてくれ。今お前といる暇は─」
琴「いえ。問題はありません。私たちはあなたを嵌めに来たわけですし、それにその桜さんなら─」
そう言って後方を指す。
琴「もうこちらに。」
桜「た…ける…」
健「桜!」
身を乗り出す健。
琴「無駄です。あなたがあと一歩でも足を前に踏み出せば、仲間の短刀が桜さんの動脈を引き裂きますよ。」
衛「そのとおり。まあ運がよかったな。幸いここは病院。もしそうなっても助かるかもしれないぞ。即死じゃない限りな!」
健「くそォ…!」
琴「要求は一つ。私と一緒に来ていただけますか。」
衛「神に一番近い場所…神襲を終わらせるに相応しい場所…『使者神殿』になあ!」
健「神襲を…終わらせる…!?」
琴「儀式は簡単。内容は後で説明します。」
衛「言っておくが、お前に拒否権はない。拒否すれば直ちに、王女殺害を実行する。」
健「いいだろう。それでホントに、神襲が終わるのであれば。」
琴「流石です。話が早い。そうと決まれば早くしましょう。」
琴が歩き出し、健もそれについていった─




