拾弐章─健の行き先─
宰「抜け出したぁ!?」
隊員「はい。手術室が一室しか空いていなかったため、意識があった健さんを後回しにして個室に寝かせ、意識が混濁している身許不明の不良を手術させていたのですが…」
菫「その病室から抜け出したと。」
隊員「面目ない。」
菫「いや、いいです。では宰さん、行きましょう。」
宰「行くってどこへ?」
菫「それはもちろん、
─健様の、行く場所ですよ。」
プリズンは、狙いを斧に絞り、全てを斧に当てていた。
優「くそっ!これじゃ、時間の問題か…」
流「あとちょっとなのに…」
調「ならば、ここからは浄化属性で戦います!奴の攻撃を、なるべく多く浄化してみせましょう!」
翼「駄目だ!ここからでは、射てない!」
調「それは…私がここから出ていけば─」
明「そんなことしてみろ!出てくるところを狙われて、呆気なくお陀仏だぞ!」
プリズン『来たか…』
プリズンの体に火がつき、燃えだした。
そしてプリズンは横になり、何かのカウントダウンを始めた。
『5…』
流「着いた!」
優「よっしゃあ!」
翼「よく粘った。」
明「でも異様に静かになったな。」
宰「死を覚悟して、もはや攻撃は無意味だと、悟ったのでは?」
『4…』
香「何か、言ってますね…」
優「負け惜しみじゃねーか?」
『3…』
聡「カウントダウンだ!」
宰「でも一体何の。」
『2…』
老婆「神はすぐには死なぬ。ただでも死なぬ。神を殺した愚か者を、成敗してから果てるのじゃ。」
香「てことはまさか…」
流「ば、ば…爆弾!?」
『1…』
─その時、空から、まるで雷のような一筋の光がプリズンに当たり、プリズンの体を地面に押し付け、凍らせた。
優「待ってたぜ。」
優がたった今、空より舞い降りたばかりの友人に声をかける。
翼「僕が言うのもなんだけど、『舞い降りる』とはこのことだね。」
翼も、その友人に語りかける。
聡「いいとこ取りか…桜さんの機嫌取りかい?」
健「ンなわけねぇだろ!これでも結構苦し…かはッ!」
健は、吐血した。
優「おっおい!大丈夫か!」
健「桜に伝えろ…戦島を守ったのは、俺でも優達でもなく…お前の決意だってな…」
─気絶。
翼「ハハッ、何言ってんだよ。ここまで粘った分ぐらいは、感謝してもらわないとな。」
明「ヴァーカ。一番粘ったのはアタイだろ。アレを持たせんのって、結構キツいんだぞ。」
優「んじゃ、そういうことにしといてやっか。」
宰「何で、行き先は戦島なんですか?船もないし。」
菫「不良です。」
宰「えっ、また?」
菫「いえ。行き先が戦島である理由です。港というのは、漁を終えた漁師、捕れた魚の競りをする客達、クルーザーの船員、それに乗る客など、様々な人びとがいます。そんな人目につく場所に、不良が少人数でたむろするでしょうか。」
宰「そ、そういえば…」
紀仁「でもよぉ、あいつ等がいたのは船着き場。結構人は少ないんじゃねぇのか?競りの客は来ないし。」
菫「船着き場は、私達がそうであったように、外から見られやすく、建物の中より更に危険です。船着き場こそ普通はあり得ない場所なのです。」
宰「じゃあ何で、船着き場にいたんだ?」
菫「不良じゃないのでしょう。少なくとも今回は。」
紀仁「『今回は』?それはどういう─」
菫「今回の彼等には何か、港に堂々とたむろしていられる理由があったのでしょう。例えば─船の乗組員とか。」
宰「そうか!船の乗組員は、力仕事!まさに強い不良には、打ってつけのバイトか!」
紀仁「で?それがどうして、健の行き先と繋がるんだ?」
菫「問題は誰がそれを依頼したか。不良を使ったってことは、正規の乗組員は雇えないから。すなわち、ブルースタイン王は却下。彼は、正規非正規を構わないでもいい権力を持っている。だとしたら誰か。救急車に乗らなかった不良二人組が消えていることを考えると、容易に想像はつきます。誰かが不良達に依頼し、健様を戦島まで連れていった。ということは、課題の場所を知っている。そして、不良を雇えるほどの金を持っている人物、それは─」




