必殺技っぽいモノの名前言っていこうぜ2
第2回小説家になろうラジオ大賞ノミネート記念小話
「ふははは! 甘い甘い!」
「クレープぐらい普通に食えよ」
「あ、ごめん。何かテンション上がっちゃってて」
「おっ、そうか。テンションがな。
えーっと、なら、いいんじゃねぇの……で、デェト、なんだしよ」
「う、うむ……」
「オレ惣菜系にしちまったけど、そっちのも美味そうだなぁ」
「んっ? シェアしちゃう?
いいよ。はい、あーん」
「バっバカ、そういうのは人前でやるもんじゃねぇっ」
「へぇー、人前じゃなきゃ大丈夫なんだぁ」
「……そこはまぁ、年頃のオトコノコとしては色々興味もあるもんでだな」
「ムッツリ」
「違わないけど違うっ!」
「どぉだかねぇー?」
パァン!
「ッ……て、なんだ子どもの風船が割れただけか」
「ぷぷっ、なに腰に手ぇ持っていっちゃって。
そこに聖剣なんて、ありませんよ?」
「言うな。反射になってんだって、もう。
ていうか、そっちだって人差し指ピクつかせてただろ。
うっかり前世の魔法でも使おうとしちゃったんじゃねぇの?」
「ぐぬっ、よく見ておるではないか」
「まぁ、いざという時ほど視野を広く持つもんだからな。
音に気を取られてたら反対側から襲われるとかザラだったし」
「ソレめっちゃ分かる。
もうね、私もありとあらゆる卑怯な手を使われたモンよ。
最初から最後まで正々堂々真っ向勝負なんて敵は、不屈の勇者ぐらいだったなぁ」
「…………何か複雑な気持ちになるから、この話は止めよう」
「さもありなん」
「あー……手、でも、繋ぐか?
か、カップルらしく」
「そのスマートさの欠片もないトコ嫌いじゃない」
「くそっ、放っとけ」
「へへ、拗ねない拗ねない。
えっとねぇ、手は手汗が気になっちゃうから腕を組んじゃおっかな」
「ぐっ、大魔王あざといっ」
「くっくっく、我が叡智の前に平伏すがよいわ」
「止めろぉ、俺は健全な男子高校生だぞ。
女子特有のフワフワの感触とやたら良い匂いのせいで、自然と前かがみになっちまうだろが」
「下ネタやめて下さい」
「アッハイ。ごめんなさい。
いやでもガチでヤバいガチで、もう少し密着度下げてくれ」
「ええー。この不健全スケベ男子め」
「なんたる理不尽な不名誉ッ」
「次、どこ行くー?」
「今日はマウント・ワンは無理なんだっけか」
「あ、うん。
体を動かす系の遊びは事前申告してくれないと、女の子は服装とか体調とか色々あるからさ」
「だよな。オッケー、オッケー」
「…………あの、面倒だよね。ごめんね」
「は? バカ言うなよ。
こうして一緒にいれりゃあ、ソレで充分だろ」
「くぅっ、コヤツ素でクリティカルを入れてきおるっ」
「うーん。名残は惜しいが、そろそろ帰るか。
あんまり遅くなると親御さんも心配するだろうしな。
さ、送ってくぜ」
「はぁーい…………ホント優しいよねぇ、辰之進は」
「ええ、そうかぁ?」
「そーだよ。かけねなし。
……だから、実は結構不安なんだ」
「へ? 不安?」
「だって、もう普通の人間になっちゃったのに、正義感は前のまんまでさ。
いつか、そのギャップに殺される日が来るんじゃないかって……怖くて」
「なんだそりゃ」
「火事とか、災害現場とか、凶悪犯とか?
人助けのために平然と飛び込んで行きそうっていうか。
この平和な日本でそうそう命の危険になんか遭遇しないとは思うけど、でも、寿命で死ぬ姿が全然想像つかないし……。
ねぇ。頼むから、私を置いていかないでよ」
「えーっと……真友梨さん?
随分と先の話をしているようだが、コレは遠回しのプロポーズか何かですか?」
「はあ!? なんっ、たわけ者!
真面目な話をしておるというのに!」
「おぅ。いや、悪い。
思ったより本気で好かれてんだなって……照れて変なこと言った」
「むぐぅぅ!」
「でも、確かに。考えたことなかったかもしれねぇ」
「え?」
「老人って歳まで生きる自分」
「えっ」
「前世のせいかね。
常に今という時間にがむしゃらで、先を見るのを無意識に避けていたような気がする」
「辰之進……っ」
「だけどなぁ、言われてみれば、そうなんだよなぁ。
昔と違って、俺には使命もなければ、両親も友人も生きてて、真友梨もいる。
うん……長生き出来るように、ちと気を付けてみるわ。
ありがとうな」
「…………お礼とか、いらないから。
一緒にいて、ずっと……前世も忘れるぐらい、ずぅーっと」
「おう。爺さんになってもヨロシクな」
「そっちこそ、婆さんになっても好きでいてよね」
「よしきた、任せろ。
なに、今だって真友梨といるだけで、こんなにあっという間に一日が終わってんだ。
年寄りになるのだって、きっとすぐだろ」
「そうだといいなぁ」
「大丈夫、叶えるさ。
なんたって俺は、元不屈の勇者なんだからな」
必殺技っぽいモノの名前言っていこうぜ
記念小話おわり
備考?
元大魔王→門壁真友梨
元勇者→津戸山辰之進
将来的に「たっ君」「まゆ」と呼び合うようになる




