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短編

連鎖

作者: RK

 一つ消した。


 その影響でもう一つ消えた。


 一つ一つの小さな出来事が積み重なる。


 消した、消した、消した。


 途方もないほどの時を経て、いつの間にか小さな小さな影響は大きくなっていた。


「我々は忘れてはならない!」


 誰の演説だっただろうか?


「これは復讐である!民の!仲間の!家族の!隣人の!我らの同胞が流した血を忘れぬ為のだ!」


 たった一つの出来事が生み出した悲劇。


 もしくは喜劇といい変えられるのかもしれない。


 誰が想像しただろうか?


 誰が想像できただろうか?


 自分の仕出かしたことがいつの間にか廻り廻って世界を巻き込む大問題になってしまったことに。


「これは聖戦だ!」


 戦いに神聖だとか、野蛮だとかそんなものなどありはしない。


 人殺しに、良いも悪いもない。


 殺しを異常と思わない異常に囚われる世界。


 それを許容する異常な人々。


 たった一つの現象が巻き起こした憎しみの連鎖。


 それは既に忘れ去られた記憶の彼方から始まる鎖。


 その鎖が描く過去からの軌跡が今を蝕む。


 忘れるな。忘れたなら思い出せ。


 そう言い募る人たちは、新たな鎖を作り出そうとしている。


「損害と賠償を…!」


「貴様らが我が国に…!」


 奇跡は起きず、軌跡は残る。


 その軌跡を忘れずに、描くことをやめるのは何時の事になるのだろうか?


 連鎖はまだ、終わらない。

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― 新着の感想 ―
[一言] そしていずれ忘れた頃にまたひとつ消してしまうのでしょうね。
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