11/14
電気を消した後に増える音
夜、声が頭に響く。語りかけてくる。自分の声で、もう一つも自分の声。
熱くなる体温。布団の外は芯まで冷える様な部屋の中。まず出る事は考えない。
布団の中には沸々と溢れ出てくる何かが充満している。それが内側から眼球を押し出して、瞼が落ちる気配を失っていく。
もうこの感覚を知っている。寝れない、今日は。そう確信して、体を起こす。時間を見たいが見たら焦ることを知っている。
まず布団の上で正座をする。随分と重厚になった頭をもたげる様に動かして、揺れる体がやや右方向に傾いて止まる。
そのまま、体が冷えるまで待つ。ずっと、ずっと。熱が原子や分子の運動を根本にするとすれば、頭にあるこの幻の熱は頭を巡る情報の運動のせいだろう。だから、冷やす。全てが止まるのを半分願って。
「寝れないの?」彼女が目を覚ます。
「うん、そうみたいだ」
「話す?」
「いや、大丈夫」
「そう」
話す必要が無いわけではないが、話す距離感ではない。遠いわけではなく、近すぎるのだ。
彼女は少し心配そうな顔をして、また瞼を下す。僕は一つ深呼吸をして、体を枕へと鎮める。体は寝る姿勢ではない。ただ、重さを任せただけで。




