ありのままで 第2部
ありのままでの、第2部になります。
良かったら読んでください。
私こと、伊川 瞳には変わった彼氏がいる。
彼は、森田 康弘 君という。
学校は、違ったが高校生からの知り合いだった。
第一印象は、『変わった人』。
スクランブル交差点で、友達たちと渡ろうと話をしていたら、急にわたり始めてクラクションを鳴らされるし、大人しそうな顔立ちのせいか、よく絡まれて喧嘩をして来る時もある。
外の顔は、大人しく優しく、明るくてよく話を聞いてくれる。
大人たちも、そこ騙されて仕舞うのだろう。
小学校から高校まで、生徒なんて入っていたし、部活動もして友達じゃなくても、顔見知りが多くて、他の学校の人も会うと挨拶をして来るのには、ビックリだった。
高校の頃、たまにバイトもしていたが、知らない女の子が彼を写真に撮っていたのには『さすがに、無いわぁ』と思った。
そんな、森田君の彼女になるとは、初めは考えていなかった。
転機は、私の失恋がきっかけだった。
叶う望みは、殆どなかったけど理屈じゃなかった。
だって、大人で先生で、私はまだ大人じゃなかったけど、想っているだけで、楽しくて心が弾んで楽しかったのに、『どおして』。
友達は、元気のない私を見て、話を聞いてくれる。
『休みたいなぁ』
私の気持ちは、浮かぶことなく沈んでいく。
その頃、森田君も振られたことを話してくれた。
それも、何度も同じ人に断られているって!「あわわわ」
空気が余り読めないのか、人前も告白をして、手紙でも気持ちを伝えていたそうだ。
さすがに、それは無理だぁ。
そこまで簡単に、気持ちが変わることはない。
無理だ、森田君、その子が少し可哀そうだと思った。が、森田君は隣で泣いていた。
それから、暫く連絡をしなかった。
たまたま、連絡が来て、久しぶりに会ったら、『休んでいた』。
学校から、呼び出されていたって、『何してるの。』
『休みたい』私に、『休んでいた』森田君。
出席日数を指摘されて、止む無く週明けから通うそうだ。
それから、また会う機会が増えていった。
友達と遊んでいるときは、気がまぎれるのか会話も増えていった。
友人たちと別れて帰り道、川の横の公園で森田君はまた、『変なこと』を言い出した。
「お試しでもいいから、付き合ってみない。」
『何を言ってるの、この人』
「えっ」
「まだ、割り切れてないでしょ、僕も何だけどね。
それでも、瞳ちゃんが、励ましてくれたことで、嬉しかったよ。」
「お試しって。」
「だから、有限でも無期限でも、付き合ってみたいなって思った。」
「そんな、直ぐには返事できない。」
「それは、仕方がないよ。返事は、急がないから考えてみてよ。」
「う ん。」
突然の事に、私は何を言われているのかさえ、理解するのに時間がかかる。
「じゃ、またね。」
送ってくれた、森田君を見送りながら、『どうしよう』が精一杯だった。
いつも、ありがとうございます。