21. 父の懺悔
「父の容態がよくないと聞きました。」
「ワシは城内のことはよく知らないが、最近はぼーっと宙をみたままで、たまによく分からないことも言うらしい。もう長くはないじゃろうな。」
「結婚の報告と息子を見せたかったんですが、もう私のことわからないですかね。」
「うむ。日によって多少意識のムラがあるようじゃだから、滞在中に何度か話しかけてみたらどうじゃ。あの方も一応、リリアーヌお嬢様のことを心配しておったんじゃよ。だからお嬢様の顔を見たら意識がはっきりするかもしれん。」
「ロジェ爺、分かりました。せっかく来たので何度か試してみます。」
そう言って、早速父の部屋に向かうことにした。エリカはドラゴンの件でまだ忙しそうだったから、代わりに家令のフィリップに父の部屋を訪ねることの了承を得た。
「アベルは父が倒れたあと一回会っているのよね?どんな様子だったかしら。」
「君のことは既に死んだと思っていて、すごく後悔しているようだった。以前の覇気はなかったな。」
「そう。」
父の寝室の前に立つ。少し緊張してきた。
こんこん
ノックをすれど中から返事はない。念のため、一言声をかけて室内に入った。
「お久しぶりです。お父さま。リリアーヌです。今戻りました。」
ぼーっとベッドの天蓋を見ていた父がこちらを凝視した。しばらくの沈黙のあと父がおもむろに口を開いた。
「…ダリア、、君なのかい?」
へ?さすがに母と間違われるとは思わなかった。確かに私と母は同じ髪色で、同じ碧眼だ。
「いえ、あなたの娘のリリアーヌです。」
「ダリア、すまなかった。本当に本当に。せっかくこんな田舎に嫁いでくれたのに。あの時の私は変な意地を張っていたんだ、父に頭ごなしにいわれて。今なら分かる。私がすべて間違っていたと。」
「…」
シモンが困った顔してこちらを見ている。今日のところは出直すしかなさそうだ。




