表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/59

6. 従兄の意思

日曜日は予定通り、従兄のパスカル兄様の見舞いに行った。彼は今伯爵家本邸の離れに住んでいる。部屋に入るとベッドの上で分厚い本を読んでいた。


「パスカル兄様、体調はいかかですか?お見舞いにこの前お話ししたリンゴのゼリーを持ってきましたの。」


「この前言っていた新作かい?いつもありがとう。今日は幾分か気分がいいよ。」


「それはよかったですわ。実は伯父様から体調が芳しくないと伺っていたもので。。」


この世界で迷信で、魔法属性ごとに体調を崩しやすい臓器があると言われている。風属性の場合は、肺を壊しやすいそうだ。パスカル兄様の肺病はもともと外国から渡来したものだ。発病する人しない人、重症化する人軽い感冒症状だけの人がいた。パスカル兄様は風属性だったせいか、この病で生死の境をさまよった。


「もう、肺の半分以上が機能していないと言われてね。まあこうやってベッドの上だけで生活する分にはそこまで苦しくないよ。。。。ゲホッゲホッ。」


といって、咳き込んだ。


「兄様、大丈夫ですか?!」


「ちょっと咳き込んだだけだ。心配するな。それより伯爵家の跡継ぎの件とシモン君の件は問題ない。それを確認しにここに来たのだろう。」


「はい...」


「貴族として優先されるべきは個人の感情ではなく、家の意向だ。領民達の生活が懸かっているからな。医者からもう残り1年ないと言われたんだ、ゲホッ、、、私は若い頃かかったこの肺病のせいで、ゲホッ、、、嫡男としてろくに領地に貢献できなかった。最期くらい少しでも役に立ちたいんだよ、、ゲホッゲホッゲホッ、、」


そう言い終えるとパスカル兄様が激しくむせこんだ。口元を押さえた手には血がついていた。


「兄様!いま使用人を呼んできます!」


その後はとても会話できる状態ではなくなり、大慌てで医師が呼ばれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ