戦争を止める使節団
前回のあらすじ
曲逆城での戦いが終わったその夜、薊から文が飛ばされてきた。内容は中山国の願城もしくは中人城を奪い取れという事だった。この文を受け、商鞅は願城を奪い取りに行き、願城にいた中山軍六万五千を殲滅し、見事願城を奪い取った商鞅だったが、商鞅はこれ以上中山国に侵略はしないと決め薊に戦争をやめる旨を伝えた。その為、燕は中山に使節を出す事になったのだ
燕国、薊にて
伝令係 報告します、商鞅から手紙が送られてきました。内容は『これ以上戦争をするのは、燕国には良くないだから、中山国に有利の形で交渉した方が良い』という内容です。他にも交渉する時に提示する条件などの手紙などもあります。
王 商鞅がそう言うのであれば、今すぐに使者を中山に送れ!できる限り弁が立つ者にしろ。(いや、商鞅にやらせれば良いのではないだろうか。)口が上手い商鞅を向かわせよ。その旨を伝える手紙を商鞅の所へ送れ。
伝令係 は!
願城にて
伝令係 商鞅様、薊から返しの手紙が、
商鞅 何だ申してみよ。
伝令係 それが、貴殿より送ってもらった手紙の内容にはとても説得力のある事が書かれていたが、我が国から送る使節に関しては、貴殿に行ってもらいたい。なので薊に来てくれ。との事です。
商鞅 おいおい、私が行ってしまったら、私が中山に殺されるかもしれないぞ。まあ、脅せば良いか。
商鞅様、馬車が来ました。
商鞅 分かった今すぐ乗る、あとさ馬車ってここまでくるの?まさか、建物の中に入ってくるとは思わなかったんだけど。
商鞅様、なり振り構わずさっさと乗っちゃいましょう。
商鞅 ん、まあ、わか、った。
馬車の中
商鞅 はあ、曲逆と願で戦って、次は中山国の霊寿へ交渉かあ。私もう燕から出たくないんだけど。
運転手 まあ、商鞅様一時の我慢ですよ。
商鞅 だとしても、中山に入っていきなり暗殺されるんじゃないか、と思うと想像してしまうから怖くなる。まだ私は死ねないから護衛が欲しいし、何よりも、私が生きてるのが何処かに漏れたら結構困るしなー。もしかしたら斉が秦に媚を売るために燕に侵略して、私を捕らえて秦に送られるかもしれん。送られたら、秦の恵王に殺されてしまう事が目に見えた。
運転手 商鞅様考えすぎですよ。
商鞅 そうじゃないと予想外の問題の対処ができないだろう。
運転手 それは、分かりました。が、今回に関しては中山国も貴方を殺せば不利になる事ぐらい分かっているんじゃないでしょうか?
商鞅 それもそうか。
運転手 曲逆と願の戦いはどうでしたか?
商鞅 意外に、中山軍は手強かったさ。秦にいる時軍を率いて魏に攻めた。その時はほとんど騙し討ちで勝った、だが中山は普通の戦を求めてきたから、作戦を考えるのにも苦労した。
運転手 やはり、裏技は常時使う物ではありませんね。
商鞅 そうだな。
(二人の笑い声)
運転手 あ、着きましたよ商鞅様
商鞅 着いたか、早めにきてくれて感謝する。
玉座にて
王 商鞅よく来てくれた。貴殿に中山国へ行き和睦して欲しいのだが、貴殿は行くか?
商鞅 少し不安は残りますが行かせてもらいます。
王 貴殿の不安は何だ?
商鞅 それはですね、中山国へ行って、私が処刑される事態を恐れているのです。
王 分かったそんな時は、貴殿の部下で一番戦に才ある者に大軍を率いさせて中山国を攻略させに行かせる事にしよう。
商鞅 それはありがたいです。(いや、私の殺される恐怖を拭いていないのだが。)
王 分かったなら、中山国へ向かえ。
商鞅 は、大王様
中山国、霊寿にて
伝令係 は、報告します。趙軍に扶柳城、房子城を落とされましt
中山王 ダン(台パン)
ふざけるな、お前ら戦に負けよって、(怒)
東部では燕に願を落とされ、南部でも扶柳と房子を落とされた。被害はどれくらいだ?
伝令係 双方合わせて五万ものの大軍は、四万が戦死し、又は捕虜に。
バァン(台パン)
中山王 くそ、霊光が討たれ、この状況を、立て直せる将軍はいるのか?
伝令係2 報告します。燕国から、使者が来ました。
中山王 何、今すぐここに連れてこい要件を聞く。
伝令係2 は、
商鞅 ここが中山国の霊寿か、燕とはやはりちがうな。
中山国の案内人 燕の使節団の方々、大王様がお呼びです、案内します。
中山国の玉座にて
中山王 わざわざ貴様が来た理由は何だ、商鞅
商鞅 話し合いをしたいと思い、ここに来ました。
中山王 何の話し合いをしたいのかを述べろ。
商鞅 はい、和睦の為の話し合いです。
中山国の文官たち ざわざわざわざわ
中山王 今、貴様を処したい気分だ、商鞅。では、お前はただ和睦するだけなら、わざわざここに来るのは貴様ではないはずだ。何か条件付きなのか。
商鞅 そんな、我が国が願を占領したままでは、それは和睦とは言えません。私がしたい事は、燕国と中山国の両方が納得するまで話し合いたいのですよ。
商鞅 まず、願城を返して欲しければ、中人城とその周辺を燕に渡してください。そして、嘔夾水を境として嘔夾水より東側を燕に渡してください。
中山王 く、(やはり、そう来るか)
商鞅 分かりやすく言えば定州の北部の部分を燕によこせば良いのです。それをすれば願城の復興を支援しますよ。
ナレーター
中山国にとって願城は、一番栄えている都の霊寿に次ぐ位の都市である。つまり日本で言う大阪的な感じなのだ。
商鞅 それと加えて、燕国にいる中山軍の捕虜もお返しを約束しますよ。
中山王 本当だな?本当に定州の北部の部分を燕に渡せば良いんだな?
商鞅 ええ、約束します。もし、私たちが貴方たちの軍を返して、中人城と定州北部を渡さなければ、また戦争にしないといけません。そういう風に私たちの大王様がそうおっしゃっられていますので。
中山王 分かった、中人城とその周辺、嘔夾水を境としてその東側を燕国に渡そう。
商鞅 交渉成立ですね。
中山王 では、もう燕国の使節団はもう帰らせよ
商鞅 分かりました、では
燕国の帰りの馬車の中にて
商鞅の部下 商鞅様、交渉は燕の方に有利な形で終えれて良かったですね。
商鞅 とりあえず、計画通りで良かった。
商鞅の部下 でも、商鞅様どうして、願城ではなく、中人城を貰ったのですか?願城の方がでかくて、貰えたら中山は苦しめられましたよ。
商鞅 中人城の方が人口が丁度良くて管理しやすいし、中人城は無傷だからだよ。それに、願は価値がある城だそれを交渉に出さないと、中山は交渉が難航してしまうかもしれない。なぜなら、元々有利な条件で戦争を辞めようとしているのに、中山国を圧迫したら、中山国の戦争理由が中山王の恨みになってしまう。それはかなり厄介だ。だから、願城を手放してあまり大きくない中人城にした。それだけだ。
部下 すごい考えですね。商鞅様
商鞅 今、趙は大軍を率いて中山国南部の扶柳、房子、石邑を攻撃しているが。まあ、今回の趙の作戦は、中山国の南部を趙の領土にするという事なのだろうな。だが、その趙も欲張って肥城の所までいったら、どうなるのかが分からない。その頃には、私が中山国に渡した捕虜一万が戦場にいるかもしれない。そして、中山国中部の肥はそこにどれくらいの軍勢がいると分からないのが最大の謎だからだ。
中山国の玉座にて
中山王 ふう、おい、燕の使節団を監禁して処刑しろ。王の側近 は、分かりましたが、なぜかが気になります。
中山王 あの商鞅という男只者じゃない、捕虜一万を返すと、約束してくれたが、捕虜一万よりも、あの男の首の方が価値が高いと感じた。事実、曲逆城を救った手腕とあの燕軍の今までにない士気の高さあれは絶対全てあの男に仕業だ。だから今ここであの男を殺して燕国の発展を遮る方が最大の燕に対する復讐なのではないか、と思ったからだ。
側近 そ。そうですか、
中山王 さあお前はどんな手を使ってこの危機を脱するか見ものだ、商鞅