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06 旅立ち
旅立ちの日。
屋敷の玄関前には全員勢ぞろい。
湿っぽくならぬよう笑顔で。
なぜなら、今生の別れではなく必ず戻ってくるから。
皆とさらりと挨拶を交わして、マクラを迎えに行く。
宿に着くと玄関先にはマクラとご主人。
ふたりとも笑顔。
マクラと手を繋いで歩き出す私に、ご主人深々と礼。
マクラは泣かなかった。
可愛いだけではなく、利発で優しい娘である。
ゲームのようなこの世界に召喚されたことが偶然では無いとするなら、
これこそが私のロールプレイングであろう。
マクラのため、己が修練の全てをもって世界と向き合おう。