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33 マクラ


 そして出発の日。


 行く先を定めぬ自由な旅、では無く佐州家一同を佐州家に連れて行くという特使騎士の映えある初回任務は言わば送迎タクシー。



「準備万端ですよっ。 追加機能は取り扱い説明書を見て下さいねっ」


 アリシエラさん、追加はありがたいですがお手柔らかに。



 試作型武装魔車に乗り込むのは、


 アイネさんを加えた新生モノカチームと佐州家一同の合計七名。


 こういうシチュエーションで七人揃ったので、何かカッコ良いタイトルでも思い付けば良いのだろうが、何も思い浮かばぬ。




 新生モノカチームについて、考える。


 今までの戦い方は、前衛しか務まらない脳筋槍使いとお供の騎士がとにかく突っ込んでふたりで大暴れというものだった。


 新加入のアイネさんは、なにせソロでトップランカーだったミラクルエース。


 遠・中・近、何でもござれの戦闘スタイルは実に実にありがたい。



 以前も考えたが、これで回復役がいてくれたらマクラ守護 兼 特使騎士世直し旅も問題無しであろう。


 どこかに回復が得意で性格が良い可愛い娘さんが落ちてないかしら。




 さて、リノアさんたちとお別れしているマクラを迎えにいかねば。


 ロイさん宅にお邪魔、この村のほとんどの家は施錠の習慣が無い。


 ロイさんが村長であることによる治安の良さと人間関係の暖かさはうらやましい限りではあるが、それゆえに先日のような他所から来た暴徒は許せるものでは無い。


 連中、今頃王都で厳罰に処されていれば良いのだが。




 邸内ではマクラを抱きしめる涙のアイネさんと、それを見て涙ぐむロイ夫妻。


 あれ、何かがおかしい。


 これから一緒にマクラと旅をするアイネさんが、なぜマクラを抱きしめながら泣く。



 しかもマクラは泣き顔では無く困惑顔。


 もしやトラブルかと駆け寄ってみると、



「マクラちゃん、ありがとう」


 と言うアイネさんの、あれは感謝の涙。


 何事ですかとリノアさんに尋ねると、スッと何かを差し出してきた。



 押し花のしおり、作りたてのようにきれいな。



「マクラちゃん、凄かったです」


 だからロイさん、説明を詳しく。



 旅立ちの前に、ロイ家に保管してある自身の宝物をマクラに見せていたアイネさん。


 一番はどれかと聞かれたアイネさんは、しわしわになった押し花のしおりをマクラに見せた。



「しわしわでお花がかわいそう」


 とマクラがしおりに触れた瞬間、まさに一瞬でしおりは新品のようにきれいな状態に。



 以降は見ての通り。



「ちょうど今のマクラちゃんくらいの頃に、僕がアイネにプレゼントしたものなんです」


 涙する姿も素敵です、ロイさん。



「昔からずっと、アイネの一番の宝物なの」


 涙する姿も素敵です、リノアさん。



「嬉しくてどうにかなっちゃいそう、ありがとねマクラちゃん」


 涙する姿も素敵です、アイネさん。



 当のマクラは自身の可愛らしい指先を見つめてきょとんとしている。


 これから、もっといろいろなことを教えてあげねばなるまい。




 国をも動かすという『女神』の力


 それをどう使うかはもちろんマクラ次第だが


 今のアイネさんのように


 真っ直ぐ優しく育ってくれれば


 力の使い方を誤ることも無かろうし


 きっと素敵な仲間が手助けしてくれる




 私の名前は、秘崎 萌乃果。


 これがあるから、明日も頑張れるのだ。


 

 あとがき


 リヴァイスという世界は、ひとりの少年がプレイしている仮想現実ゲームです。


 彼は長い時間この世界を旅するうちに『鏡の賢者』と呼ばれる存在になりました。


 お供のメイドさんは『伝説のメイド』と呼ばれております。


 ここで暮らしている人々はいわゆるAIですが、それなりに大変なこの世界を楽しく生きているみたいです。


 リヴァイスの物語は、そういう人々のあれやこれやを短編として紹介するものとなりそうです。




 iPadのメモ帳につらつら溜め込んでいたショートストーリーや小ネタをひとつの世界にまとめようとしたら、こういう設定になりました。


 整合性や何やらいろいろアレですが、お話しがまとまり次第投稿したいと思っております。



 楽しんでいただけたら幸いです。


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