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28 景色


 嵐のように消費されていくお肉やお野菜。


 頬張る人々の間を舞うようにお世話している一陣の風、それがセシエリアさん。



「おひとりで大変そうですが、お手伝いしましょうか」 と、声を掛けると、


 少し、眉をひそめたセシエリアさん。



「お世話すべき方々から心配されるようでは未だ道半ばということなのですね」


 きりりと眉を上げて再びメイドの戦場へと飛び込むその姿。


 私自身もまた、道半ばなのだと痛感する。




 周りと空気が違うその空間は、今回の依頼の大元。


 リノアさん、アイネさん、そしてニエルさん。


 いかに空気が読めない私でもさすがにあの輪には入れぬと、遠目に幸せを祈る。



 深々と降り積もる雪のように静かな積もる話。


 無理にでもセシエラさんを連れて来れば良かったと、少し後悔する。


 私の表情に気付いたアイネさんが駆け寄ってくる。



「お肉、食べましょ」



 そういえば、事件当時のアイネさんはまだ赤子か幼児。


 それでも母を案じて側にいてあげる気遣い。


 私の気持ちを察してくれる心遣い。


 何と優しく真っ直ぐに育て上げられたことか。



 私はマクラの良き母となれるだろうか。




 宴の片隅、静かにマクラを抱いてあやす男、それがロイさん。


 実に絵になるその男と理想的な抱きマクラ。



 その景色を陶然と眺めていると、


 隣のアイネさんも同じまなざしであると気付く。



 アイネさんも私を見据える。


 同い年のふたり、確かに心が通じ合った。



「「頑張りましょう」」



 いろいろと、ね。



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