26 トラウマ
あの痴女もとい救世主は、ロイさんのお仲間のひとり、
ヴァニシアさん。
「ずるいぞセシエリア殿、何で呼んでくれなかったのだ」
時々、発作的に山籠もりするので連絡が取れなかったとセシエリアさん。
ちなみにビキニの理由は、山籠もり中に一番荷物が減らせて一番洗濯しやすい衣装だからだとか。
ロイさんの周りも、いろいろ大変なようだ。
私たちの試作型武装魔車の活躍が目立たなかったのは、セシエリアさんのせい、じゃなくて、おかげだそうだ。
もし彼女がいなかったら現場はもっと凄惨なものとなっていただろうとはアイネさんから後で聞いた話。
セシエリアさんは立派にストッパーの役割を果たしてくれたようだ。
それからは、いわゆる戦後処理ってやつですかね。
領主も強硬派リーダー含む貴族たちも、
誰もセシエラさんには逆らえませんでした。
リノアさんやアイネさんのことは、うまく濁してくれたようです。
もし老婦人状態のセシエラさんのままなら、こうはならなかったでしょう。
子どもの頃に身体にしつけを刻み込んだ相手が、大人になって調子に乗ってたらあの頃と同じ姿で現れたのですから、気持ちは分からないでも無い。
でも、そういうのって私みたいにひねた子ども時代を過ごしたやつには効かないかもね。
「モノカって、たぶん子どもの頃から変わっていないと思いますよ」
ほう、言うねえノルシェ君。
君にだってトラウマのひとつやふたつ、あるのだろう。
「あの揺れっぷりは、しばらく夢に出てきそうです」
激しく、同意した。




