24 突破
もうすぐ街が見えると丘を登れば、
遅かったのか?
街の大門の前の平原でにらみ合う兵士たち。
たぶん大門側が領主勢力、平原側が強硬派、
「セシエラさん、合ってますか」
「旗印によれば、そうです」
少し震えているセシエラさん。
「アレを止める方法、分かりますか」
「強硬派のトップを」
なるほど、私たちは強硬派の軍の背後に出た。
つまり一番近くにいる一番目立つ鎧のおじさんがトップ。
「アリシエラさんとセシエラさんはここでサポートを」
「セシエリアさんは弓で援護を」
「ノルシェ、出るぞ!」
「行きますよ、モノカ!」
出ようとする私たちをアリシエラさんが制止、
「みんな目をつぶってくださいっ」
一拍置いて次の瞬間、
まぶたを閉じても分かるほどの強烈な閃光。
「今ですっ」
アリシエラさん閃光弾ですか、今度から先に言ってください。
走る。
あれ、ちょっと遠かったかな。
最近、乗り物ばかりだったので、身体が鈍ってるのかも。
もう少し。
あ、駄目かも。
丘を駆け下りて接敵するまで、少々時間を掛け過ぎた模様。
ノルシェとふたり、準備万端の敵兵に突っ込む。
すでに何人か倒れているのは、たぶんセシエリアさんの弓。
流血痕が無いので、魔法の麻痺矢か何か。
遠くの方、両軍の中間地点にそびえる壁のような物は、たぶんアリシエラさんが張った両軍隔絶用の大規模結界。
魔素馬鹿喰いしそうなシロモノですね。
正直に白状すると、不殺じゃなければとっくに突破出来ていたと思う。
でも、マクラに顔向け出来なくなるのは嫌だ。
だって、お母さんだし。
遠距離組のふたりの援護もちゃんと感じるが、
意地っ張りもここまでかな。
追い詰められて、
ノルシェと背中合わせ。
覚悟を決めた私の耳に幻聴。
何か、高笑いが、聞こえてくるんですけど。




