表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/33

02 『女神』


 勝手にこの世界に召喚され国のために戦えと無茶振りされた私は、いろいろあって面倒ごとから抜け出すことが出来た。


 永遠を誓うパートナーとなった女騎士のノルシェと共に城を出た私は、同じ様な境遇の召喚脱落者の暮らす屋敷にしばしのご厄介となる。



 クエストに修練にと大変有意義な時を過ごせたが、私の心は満たされなかった。


 何より、新婚さんの家に長居するというのは、それはもういろいろと気を使うものなのだ。



 そんな時、事件が起きる。


 懇意にしていた宿屋のひとり娘のマクラが、たまたま宿泊していた旅の巡回神官のスキル鑑定で大当たりを引いてしまったのだ。



 この世界では15歳で成人となった際に神官によるスキル鑑定を受けて、それぞれが生まれ持っていた固有スキルを知ることとなる。


 私たちのような召喚者は特別なスキルを持つのだが、ほとんどの普通の人々はそれなりのスキルとなる、はずだった。


 マクラのおねだりに負けた旅の老神官は、鑑定結果を見て文字どおり腰を抜かした。



 固有スキル『女神』



 回復系スキルの最高峰にして、歴史上極めて稀にしか所有者は現れないそうだ。


 過去には『女神』所有者を巡って戦争となったこともあったらしい。



 老神官が青い顔で屋敷に駆け込んできた時、事情を聞いた我々はまず老神官の真意を確かめた。


 国の行く末を左右するような大事を、なぜ私たちに話したのか。



 権力闘争の醜さ、各宗教間のしがらみ、老神官はあんなものにまだ10歳にも満たないマクラが巻き込まれるのは我慢ならぬと涙を流して訴えた。



「マクラちゃんが特に懐いているモノカ殿なら、誰よりもわしの気持ちが分かるだろう」


 実の孫よりマクラにメロメロだった老神官の心からの涙は、私たちの信用を得るには充分以上だった。



 私たちはマクラを救う方法を、それぞれ自身の人生の事以上に真剣に考えることとなる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ