14 試練
襲撃は散発的です。
セシエラさんの見立てでは、
今、襲って来ているのは領主勢力と敵対している過激派の方々ではないかとのこと。
何かこちらの戦力を探るようないやらしい攻め方で、お姉さんたちのストレスが溜まって蓄積ぱんぱんですよ。
マクラからお母さん扱いされるのはとっくにあきらめました。
だって、マクラったらセシエラさんにべったりなんですもの。
勝てぬ戦に立ち向かうのも、
勝てぬ戦をやり過ごすのも、
両方が武を志す者の心得です。
特に目的地も無く近隣の町や村をセシエラさんと共に聞き込みしていたら新情報ありです。
とある村に当時のことを良く知る長老風な御老人がおりました。
何でも、旅の冒険者がそれらしい母娘を連れて村を訪れたことがあったとか。
で、御老人の息子さんがその冒険者のことを知っていた、と。
息子さんは村の仮設ギルドの職員で、そこそこ有名だったその冒険者が数年前に亡くなったことまでご存知でした。
ようやく掴んだ手がかり、逃しませんよ。
魔導通信機で、佐州さんのチームに調べてもらうことにしました。
その冒険者は基本ソロ活動だったそうですが、一時期パーティーを組んでぶいぶい言わせてたらしいです。
当時のパーティーメンバーだった男性が今住んでいる村が、私たちの現在地の近くらしいので次の目的地に決定。
しかし、そこまで良い感じだった私たちの旅に試練が襲いかかって来たのです。
こう来たか。
私たちの戦力を探っているようだと言いましたが、連中今度は本気です。
どうやらさっきの村で得た情報をあいつらも掴んだようで、勝負を仕掛けてきたみたいです。
テント内でいつものように周囲の状況を確認していたら、突然えらい数の赤い光点に囲まれてしまいました。
私もノルシェも一対一なら余程のことが無い限り遅れを取りません。
ただ、数を頼みの波状攻撃はいけない。
マクラのためにもこの旅の間だけは不殺と決めていた私たちですが、背に腹はかえられぬと覚悟を決めた時、
現れたのですよ、あの人が。




