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忘れたい彼と思い出せない彼女  作者: 赤白 青
3/28

長瀬さんの弱点


俺は行き先も買うものもわからないので、とりあえず長瀬さんに道案内を任せて、後を付いて歩く。荷物持ちで俺は呼ばれたのかな?

口下手な俺のせいか、あまり会話はなく二人で黙々と歩く。

交差点を曲がって、突き当たりを右に左にと歩いていると、長瀬さんが足を止めて振り返る。


「あの、その・・」


下をうつむきながらもじもじとしている。何か言いにくそうだ。

それを見て俺はすぐに察した。


「すいません。後ろついて来られたら歩きにくかったですよね。横歩いた方が良かったですかね?」


「横というか・・。あの、実は・・玄さんに一度連れてってもらったから行けると思ったんですけど・・すいません、迷子になりました。」


真っ赤な顔をして俯く長瀬さんを見て、俺は喫茶店の時とはまた違う感じで可愛いと思った。


「一度しか行ったことないなら仕方ないよ。行く場所教えてもらってもいいかな?俺案外この辺詳しいからわかるかも。」


「えっと・・イズミショッピングタウンです。」


「イズミショッピングタウン?」


「はい。」


驚いて思わず聞き返してしまった。

イズミショッピングタウンはこの辺りでは最も大きい商業施設で、食料品の買い物から日用品、洋服やゲームセンターと行けば全てが賄える万能な場所だ。


「えっと・・イズミショッピングタウンは喫茶店(そよ風)から東なんですけど・・」


俺は遠慮がちに長瀬さんに伝えたのだが、いまいち伝わっていないみたいで、長瀬さんはキョトンとしている。

恐らく自分がスタートから間違っているなんて気付いていない。

ここで指摘するのも可哀想だから、違う道から向かいますか。


「イズミショッピングタウンならこっちだと思いますよ。」


「道わかるんですか。良かったです。」


長瀬さんはにこりと笑うと今度は今までとは逆に俺の後ろを長瀬さんが歩く。

俺はなんとか長瀬さんがスタートから道を間違えたことに気付かないように注意しながら道を選択していった。


「そうです。ここです。イズミショッピングタウン。」


なんとか長瀬さんに気付かれることなく、着くことが出来て俺は少しほっとした。

そもそもこれだけ方向音痴ならスマホのナビ使って行けば良かったのでは?と思ったがナビを使わなかったお陰で道を間違えたことに気付かれることなく着いたのだから良かったのかな。

イヤ待て待て。そもそもナビ使えば道間違えてないじゃん。今度前を歩かせる時はナビを提案しよう。

ショッピングタウンは休日のため、けっこう混んでいたが、中に入るとすぐに案内図を見つけて地図を見ながら歩いていく。

買うものが分からないので地図を見ながら長瀬さんが再び先頭を歩く。

そしてしばらくして、振り返る。


「おかしいです。この地図間違っているようです。なかなか着きません。」


長瀬さんは地図を広げてお店を指差す。

そして、俺は気付いてしまった。イズミショッピングタウンは大きいため、東西南北のエリア分かれて地図が表示されている。お店があるのが西館で、今俺らがいるのは東館。

そりゃ地図違うし、つかないよね。

これも指摘しない方がいいかな。


「地図見してもらっていいですが?」


俺は道順を確認すると、地図を長瀬さんに返した。


「こっちみたいですよ。」


「もうわかったんですか?」


「はい。割りと地図とか道順覚えるの得意なんで大丈夫です。けどわかんなくなったらまた見してくださいね。」


「アタシ、すぐ迷子になるのでうらやましいです。」


でしょうねっと心のなかで俺は思った。

俺のなかで長瀬さんは方向音痴かもしれないという可能性から確信にかわった。

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